ガソリンスタンドが客単価を向上させた事例~「選択と集中」「権限移譲」を実践

コラム

1.ガソリンスタンドが客単価を向上させた事例~「選択と集中」「権限移譲」を実践~

■ガソリンスタンドの特徴と課題

 この記事では、ガソリンスタンドが客単価を向上させた事例を紹介します。ガソリンスタンドは、営業時間が長く、アルバイトスタッフが多いという特徴がありますが、それをどのように活かせば、客単価を上げることができるのでしょうか。

 今回は、あるガソリンスタンドの事例をもとに、選択と集中という経営戦略と、権限移譲という人事戦略の効果を解説します。

■事例企業の概要

 そのガソリンスタンドは、正社員として店長含め3名、アルバイトスタッフは30名という布陣で営業していました。ガソリンや軽油といった燃料油の販売量は全盛期に比べると半減していましたが、今回お伝えする取組みで客単価を倍増させました。

 ガソリンスタンドが抱える課題として、オイルやタイヤなどのガソリン以外の商品(油外商品)をいかに販売して客単価を上げるか、が挙げられます。しかし、これらの商品販売は、多くの場合、知識や技術が必要なので、同店は正社員が担当していました。

 また、ガソリンスタンドを営業するには、危険物取扱者の資格保持者が店舗にいることが必要ですが、同店ではその資格を持つ人材は正社員だけでした。

■「選択と集中」と「権限移譲」

 そのガソリンスタンドの営業時間は、7:00~23:00でしたが、9:00~20:00の間に油外商品がよく売れることが分かりました。そこで同店店長は、この時間帯に正社員を多く配置すれば、客単価が上がると考えました。

 そこで、23:00まで勤務する夜勤のアルバイトスタッフに危険物取扱乙種第4類の資格を取得してもらい、閉店業務を任せることにしました。これにより、正社員は23:00まで勤務をしなくて済むようになり、早い時間からシフトに入ることができるようになりました。

 よって、9:00~20:00の時間帯に正社員の勤務を集中させるとともに、夜勤のアルバイトスタッフには資格手当や権限を付与しました。

 この結果、油外商品の販売を大幅に増やし、客単価を向上させることができました。さらに、複数のアルバイトスタッフも危険物取扱者の資格を取得し、閉店業務を分担することで、特定のスタッフだけに負担をかけることをなくすことができました。

■まとめ

 この記事では、ガソリンスタンドの客単価向上の事例を紹介しました。客単価が高まる時間帯に正社員を多く配置することで、油外商品の販売を増やし、効果を上げることができました。これは、選択と集中という経営戦略の一例といえます。

 ただし、選択と集中のデメリットとして、選択と集中から漏れた領域に関わる人材の流出や反発を招く可能性が挙げられます。そこで、夜勤のアルバイトスタッフへ資格手当を用意し、閉店業務を任せました。

 これにより、スタッフ自らの裁量で仕事ができる範囲を広げ、大きなモチベーション要因となりました。これは、権限移譲という人事戦略の一例といえます。ガソリンスタンドの経営者やマネージャーの方は、ぜひ参考にしてみてください。

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