ガソリンスタンドが高額な整備・商品を販売する際の留意点

コラム

1.顧客が抱くガソリンスタンドでの不安や後悔

 ガソリンスタンドは、タイヤや洗車などガソリン以外の油外商品を販売することが、生き残りの秘訣となっています。しかし、高額な整備や商品を勧められ、不安や後悔を感じる消費者が存在することも事実です。

 この記事では、顧客にそのような感情を与えずに、顧客満足度と売上の向上を両立するための油外商品販売戦略について解説します。

 この記事は、ガソリンスタンドの経営者・リーダーやスタッフの他に、客単価の改善や顧客満足度向上に関心のある方を対象としており、記事を最後まで読むことで以下のメリットが得られます。

  • 顧客に不安や後悔を抱かせない販売方法を理解できる
  • 顧客満足度を高め、客単価を改善し、油外商品の売上を向上させる戦略を構築できる
  • 顧客との信頼関係を築き、リピーターを増やすためのヒントを得ることができる

 では、本題に入って行きましょう。

2.認知的不協和とは

 先日、以下の質問に触れる機会がありました。

ガソリンスタンドでタイヤ点検時にパンクが発覚し、他のタイヤも古かったので4本全て交換することにしました。この際に、エンジンオイル交換やクリーニング、コーティングなども勧められ、それに応じたので、合計約7万円を支払いました。これらは本当に必要なものだったのでしょうか?

 この質問をされた方は、認知的不協和を抱えている状態と言えます。認知的不協和とは、アメリカの社会心理学者フェスティンガーが1957年に提唱した理論で、人は同時に2つの矛盾した認知を抱えると不快感や緊張感が生じ、それらを解消しようとする傾向があるというものです。

 今回のケースでは、約7万円もの高額な出費を伴う整備は必要だったという認知と、今回実施した整備は一部不要だったのではという認知を抱えており、これらの矛盾する認知によって不快感や緊張感が生じています。

 そして、それらを解消しようとして、整備内容の必要性について、ガソリンスタンドや整備に詳しい人間に確認したということになります。

 このような情報収集や、他者からのアドバイスを経て「ガソリンスタンドに騙された」と判断してしまうとクレームになったり、ネット上に悪評を投稿されたり、消費生活センターに駆け込まれたりして、ガソリンスタンドとしては、対応が必要になってしまいます。

 油外商品の販売は、客単価を向上させ、店舗の収益性を高めます。ですが、認知的不協和を抱かせたことで、苦労して得た油外商品の売上が返金・減額になったり、その対応に追われたりすることは、却ってマイナスの影響を及ぼすこともあるでしょう。

 そこで、顧客に認知的不協和を抱かせない取組みと、顧客が抱いてしまった認知的不協和を解消しやすくなる取組みを述べていきます。

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