1.はじめに
富山県や愛知県のガソリンスタンドでの悲劇が報告され、過重な労働や精神的な負担が、従業員の健康と生命に深刻な影響を及ぼしています。この問題を解決し、同様の悲劇を未然に防ぐとともに、業績を維持向上させるためには、どのような対策が必要なのでしょうか。
本記事では、徳島県海部町の成功事例から学びつつ、労働環境改善の重要性を探求します。海部町では自己効力感が高く、相談を厭わない文化が根付き、地域社会全体が支え合う文化が築かれています。これをガソリンスタンドの運営に応用することで、従業員の健康と生産性を向上させる方法を探ります。
この記事は、ガソリンスタンド経営者や従業員、労働環境改善に関心のある全ての方に向けており、労働環境の改善が企業の持続可能性に与えるポジティブな影響を探求します。最後までお読みいただくことで、労働環境改善の重要性と成功事例を理解し、自社に適した運営方法を模索する上での示唆を得ることができます。
2.ガソリンスタンドで発生した悲劇
富山県内のガソリンスタンドに勤めていた男性が、過重な労働により2019年にうつ病を発症し、最終的に自殺に至りました。これは、会社側が心身の健康を損なわないよう注意する義務を怠ったためだとして、遺族が賠償を求めた裁判で、富山地方裁判所高岡支部は会社と当時の社長にあわせて6,200万円余りの賠償を命じる判決を言い渡しました。
また2022年には、名古屋市内にあるガソリンスタンドの屋上で、店舗サブマネージャーのA氏が自殺をしていたことがわかりました.。A氏は実質的な店舗の責任者でしたが、自殺の原因として過重なノルマ、長時間労働、パワハラ疑惑が挙げられています。
このようなガソリンスタンドでの悲劇を防止する対策として、何が考えられるのでしょうか。
全国 3,318市区町村の過去 30年間の自殺統計から、人口規模や年齢分布を調整し、極端に人口の少ない自治体を除外した結果分かったことは、日本で最も自殺の少ない町は、徳島県海部町(現在は海陽町)だということです。以下で海部町の特徴を見た上で、ガソリンスタンド運営へどう役立てるべきかを見ていきます。
3.自己効力感を重視する文化がもたらす影響
海部町では、自己効力感が重要視されています。これは、周囲の人々や世の中の事柄に対して何らかの影響を及ぼすことができると信じられる感覚です。この感覚を持つ人々が海部町には多いのです。
海部町の子どもたちは、周囲から「あなたにもできることがある」と言われて育ちます。高度な目標を掲げるだけでなく、人々の能力が千差万別であることを認め、それぞれのアプローチで貢献することを求めています。
海部町の町議会では、新人であっても古参と同等に扱われ、初日から積極的な発言や議論への貢献が求められます。新人は先輩議員の背後に控え、一人前に発言させてもらえるようになるまでに長いプロセスを経ることが一般的である他の多くの議会とは対照的と言えます。
住民対象のアンケート調査では、「自分のような者に政府を動かす力はない」と感じている割合は、海部町では26.3%であったのに対し、自殺多発地域のA町では51.2%と高く、大きな開きがありました。
海部町ではこれに加え、相談を厭わない文化も醸成されています。以下で詳しく見ていきましょう。
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