この記事は、チームのパフォーマンスを高めるために情報共有がいかに重要であるかという点について、大学の研究結果と旅館・ガソリンスタンドの事例紹介を通じて述べていきます。
1.チームパフォーマンスの鍵は「認知面」
2010年にアメリカのノースウェスタン大学が、チームパフォーマンスに影響を与える要因に関する研究結果を発表しました。これによるとチームの生産性を上げるには、「心理面」「行動面」「認知面」の観点が重要であり、その中でも生産性に大きく影響を与えるのは「認知面」だということです。
具体的には「認知面」を重視するチームの生産性は、「心理面」「行動面」を重視するチームの2倍以上の生産性があります。
ここでいう「心理面」とはチームメンバーのモチベーションを高めるなどの方策であり、「行動面」とはチームメンバーの行動設定や業務管理などの方策です。そして「認知面」は、チームが情報を共有し、それを意思決定にどのように活用するかなどチームの知識処理全般に関する方策です。
この「認知面」を活用して復活を遂げた神奈川県の老舗旅館の事例をご紹介します。
2.認知面の重視で奇跡の復活を遂げた老舗旅館
2009年、年商2億強に対して、10億円の負債を抱え、倒産の危機に瀕していた老舗旅館「元湯陣屋」。絶望的な状況の中、息子夫婦が事業承継を行い、製造業の経営ノウハウを取り入れた改革に乗り出しました。
当時の「元湯陣屋」は、宿泊客の管理は紙の台帳が基本で、顧客情報はサービス係の頭の中やメモ帳の中にあり、共有もままならない状態でした。そこで、新経営陣は情報共有の重要性を訴え、社内のデジタル化を推進しました。
しかし、パソコンを使える従業員は1名のみであり、多くの従業員はデジタル化に反発・抵抗しました。新経営陣は、ATMでお金を下ろしたことがあるから使えると説得したり、紙の台帳への記載を一切禁止したりするなど、改革を進めました。
2年半もの間、従業員からは不平不満が続きましたが、経営陣は彼らの声を反映し、システムの使い勝手を改良していきました。そのような中、ある顧客に対して、前回宿泊時の情報に基づき、顧客の苦手な食材を反映させた献立を提供したところ、お褒めの声をいただきました。
このような顧客へのきめ細かな配慮が好評を博し、従業員のモチベーションも向上。システムの活用が促進され、旅館は徐々に活気を取り戻しました。
そして、デジタル化による効率化と従業員の努力により、「元湯陣屋」は奇跡的な復活を遂げました。負債10億円を完済し、業界では珍しい週休3日制度を取り入れながら、売上も伸び続けています。
繰り返しになりますが、「認知面」は、チームが情報を共有し、それを意思決定にどのように活用するか、現在の業務の目的などを含む、チームの知識処理全般を指しています。
上述の旅館の復活事例は、この「認知面」の重要性を示しています。次に、このような「認知面」を重視したガソリンスタンドの事例をご紹介します。
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