１．ガソリンスタンドの経営理念の重要性と策定方法
■経営理念とは
ガソリンスタンドを取り巻く環境は激しいものがあり、経営者の悩みは尽きません。ですが、ガソリンスタンドを運営する企業として経営理念を定め、浸透させることで、経営に力強さが加わります。経営者として、またそこで働くスタッフとしての判断基準ができ「自社らしさ」が出てくるからです。
私はこれまでガソリンスタンド含め、様々な店舗のご支援に関わってきましたが、経営理念を定めているケースは多くないという印象を持っています。これは、経営理念がなくても運営はできること、また、経営理念を決めることは難しそうな印象があることが大きな要因だと思います。
では、そもそも経営理念とは何なのか、また、ガソリンスタンドにおける経営理念の例を以下で見ていきます。
■ガソリンスタンドの経営理念の事例
経営理念とは「自社は何のために存在しているのか」という問いの答え、つまり自社の存在意義と言えます。そしてこの経営理念が社内に浸透していると以下のメリットが期待できます。
- 企業の行動指針として機能し、従業員のモチベーションを向上させる
- 企業の目指すべき方向性を示すことで、企業の成長を促す
- 企業のイメージやブランドを形成し、社会からの信頼を得る
例えば、平成28年5月に経済産業省 資源エネルギー庁が公表した「SS経営に関する優秀事例100選」では、経営理念として以下の事例がご紹介されています。
徳島県 桑野石油有限会社
「私たちは、ありがとうの精神で高齢者も安心できるトータルカーライフサポートでお接待致します。」
宮崎県 植松エネルギー株式会社
「ユーザー利益第一」「全員参加・全員主役」
京都府 吉井石油株式会社
「すべてはお客様の「ありがとう」の言葉のために」
広島県 株式会社ネクステージ
「地域社会に、石油製品を安定供給すると共に、お客様のカーライフを総合的にサポートする」
福岡県 有限会社野口石油
「地域密着・顧客最優先」
自社の存在意義を示す経営理念は、その内容がどうあれ、まずは策定することが重要ですが、良い経営理念の条件を以下に示します。
■良い経営理念とは
面白法人カヤックのホームページには良い経営理念の条件が掲載されています。
1.成長性を示唆していること
2.理念から戦略＆戦術のヒントがあること
3.社会に貢献するものであること
これらを踏まえ、経営理念を作ってみましょう。具体的には以下の手順を踏むと良いでしょう。
■経営理念の作り方
STEP1：他の企業の経営理念を参考にする。
どんな言葉で表現されているか、どんなメッセージが伝わってくるかをチェックし、気に入ったものはメモしておきます。経営理念の例は前述のガソリンスタンドの経営理念の事例の他に、面白法人カヤックのホームページでも多数紹介されています。
STEP２：自分の考えを整理する。
自社が何のために存在するのか、社会にどんな価値を提供したいのか、10年後にどんな企業になりたいのかという3つの質問に答えてみます。できるだけ多く、具体的に書き出すことの他に、取引先や従業員からヒアリングしてみることも一考です。
STEP３：いくつかの案を作る。
前のステップで出した他社の例や自分の考えをもとに、3～5つほど経営理念の案を作ってみましょう。
STEP4：作った経営理念を修正する。
それぞれの案の中で特に重視したい点や共通点を見つけ、納得できるまで練り直します。時間を置いてから見直したり、他の人の意見を聞いたりすると良いでしょう。
経営理念は、ガソリンスタンドを運営する企業にとって、経営に力強さを加える重要なものです。経営理念を策定していない場合はそれを策定するために、既に策定している場合はブラッシュアップのために、当記事を参考に取組んでいただければ、自社の経営をさらに発展させることができるでしょう。
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