はじめに
この記事は、タイヤ販売によって30％の客単価アップを実現したガソリンスタンドの事例をご紹介します。その秘密は、SWOT分析を通じ「ドメイン」を明確にしたことにあります。
この記事の対象者は、ガソリンスタンドの経営者やリーダーの他に、業種を問わず、確固たるビジネスを構築したいと考える全ての方です。
この記事を最後まで読むことにより、現状分析の仕方、戦略の立案方法、具体的な客単価アップの方策が理解できるでしょう。
「ドメイン」は自社の事業活動の骨格であり、「誰に」「何を」「どのように」提供していくのかを明らかにしたものですが、これを策定するには、まず、現状分析を行うことが必要です。今回取り上げるガソリンスタンドでは、以下の手法で現状分析を行いました。
現状分析の手法
SWOT分析とは、現状を分析する手法のひとつであり、内部環境として自社の強みと弱み、そして外部環境として機会と脅威を洗い出し、それらに基づく取組みを検討する考え方です。
強み（Strengths）、弱み（Weaknesses）、機会（Opportunities）、脅威（Threats）、それぞれの頭文字をとって、SWOT分析と呼ばれています。それぞれの内容は以下の通りです。
- 強み（Strengths）とは、自社が他社よりも優れている点です。自社の資源を人的資源、物的資源、財務的資源、情報的資源に分類して、それぞれの強みを具体的に洗い出します。
- 弱み（Weaknesses）とは、自社が他社よりも劣っている点です。これも強み同様に、人的資源、物的資源、財務的資源、情報的資源、それぞれの弱みを具体的に洗い出します。
- 機会（Opportunities）とは、自社が利用できる外部環境の変化や動向です。市場や顧客、競合、法律、技術、社会などの観点から、自社にとって有利な要因を具体的に洗い出します。
- 脅威（Threats）とは、自社に不利となる外部環境の変化や動向です。機会同様に、市場や顧客、競合、法律、技術、社会などの観点から、自社にとって不利な要因を具体的に洗い出します。
今回取り上げるガソリンスタンドでは、このような視点から、自店のSWOTを洗い出した結果、以下のような内容になりました。
同店のＳＷＯＴは？
強み（Strengths）
- タイヤ販売が得意な社員が在籍しており、豊富な知識と経験でお客様のニーズに応える販売ができる。
- 配送が早いタイヤの卸売業者と取引をしているため、店頭に在庫がなくても、すぐに交換作業に取り掛かることができる。
- クレジットカード会員を勧誘するスタッフと、商品を販売するスタッフ、という形で店頭の役割分担が明確となっている。
弱み（Weaknesses）
- 車両を整備するピット室が広くなく、手狭感の中で作業せざるを得ない。
- ホームページやSNSアカウントを保有しておらず、ネットを活用した情報発信力が高くない。
機会（Opportunities）
- 近隣にタイヤ量販店や他のガソリンスタンドが立地しており、差別的優位性を打ち出せれば、販売促進の効果を高めることが可能である。
脅威（Threats）
- ガソリンの収益性が低い。
- 道路事情の変化により、客数の減少が著しい。
このようにSWOTを洗い出したら、それらを以下のパターンで活用する方策を練ることが、ＳＷＯＴ「分析」となります。
ＳＷＯＴの分析方法
- 強みと機会を組み合わせ、自社の強みを活かした成長戦略を立案する。
- 弱みと機会を組み合わせ、自社の弱みを克服し、成長戦略を立案する。
- 強みと脅威を組み合わせ、自社の強みを活かして脅威に対処する戦略を立案する。
- 弱みと脅威を組み合わせ、自社の弱みを克服し、脅威に対処する戦略を立案する。
同店は1．の強みと機会を組み合わせて、以下のドメインを設定しました。
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