万年赤字のガソリンスタンドを黒字化させた方法とは?

コラム

 私はかつて、閉鎖寸前のガソリンスタンドの店長として、タイヤや洗車などガソリン以外の商品、つまり油外商品の販売によって業績を大きく改善しました。この記事では、私がどのようにして油外商品の販売を成功させたのか、具体的な方法やコツを紹介します。

 この記事では、以下の方を対象としています。

  • ガソリンスタンドの経営者や管理職
  • ガソリンスタンドをご支援する商工会・商工会議所の経営指導員や経営コンサルタント
  • 自分のモチベーションを高めたい方

 この記事を最後まで読むメリットは、以下の通りです。

  • 自分のモチベーションやコミットメントの高め方がわかる
  • 油外商品の組織的な販売の方法がわかる

 この記事は、ガソリンスタンドの経営に役立つだけでなく、他の業種やビジネスにも応用できる普遍的なノウハウを盛り込んでいます。ぜひ、最後までお読みください。

■左遷された店舗での挑戦

 私は現在、経営コンサルタントとして活動していますが、2009年2月まではガソリンスタンドの運営会社に勤務し、現場で働いていました。その間、ガソリンスタンドの運営会社7社を渡り歩きましたが、その7社の中には、関東圏内で複数のガソリンスタンドを展開する企業がありました。

 同社が展開する店舗の中で、長年黒字になることがなく、店長を何人交代させても業績が改善せず、閉鎖が予定されていた店舗がありました。この店舗は老朽化が進んでいたとともに、面積も広くなく、顧客にとっては、入りにくく出にくいという利便性の悪さがありました。

 ある日、私は何の理由も説明されないまま、同店へ転勤を命じられました。事実上の左遷です。納得いかない私は、同店に赴任しても、低いモチベーションのまま、ため息をつきながら働いていました。そんな日々を過ごし始めて数か月後のある日、私はふと「いつまでため息をついて働くのだろう」と思いました。

 その考えが頭から離れず、色々考え、行き着いた結論は「会社を辞める」でした。ですが、店舗を閉鎖させたら、そこで働く店長の職を確保しなければならない経営陣としては、私がその時点で退職願いを提出したら、喜んでしまいます。どうせ辞めるなら「頼む、辞めないでくれ」と言わせたいと思いました。

 そこで、当時、業界入りして13年目だった私は、これまで培ったガソリンスタンド人生の全てをかけて、業績を向上させ、経営陣を見返すと決意を固めました。そして、次の方針を定めました。

■「今日だけ」死ぬ気で働くということ

 当時、私が働いていた店舗は、客数向上が見込めませんでしたから、洗車やタイヤなどガソリン以外の商品、つまり油外商品を販売して客単価を高めるしか、業績の向上策は見当たりませんでした。

 私は、油外商品を販売するために、死ぬ気で働くことにしました。死ぬ気で働くということは、明日に備えてエネルギーを温存しないということです。あとさき考えず、帰宅前にエネルギーが尽きても構わない覚悟で、仕事をするということです。

 朝から死ぬ気で働き始めた当日、閉店時刻になっても私は生きていました。ヘロヘロでしたが、洗車やオイルなど油外商品がとても売れました。疲れた体を引きずって帰宅し、泥のように眠りました。翌朝、職場に向かう体には疲れが残っていましたが、「今日、もう1日だけ死ぬ気で働く」と決め、そのように働き、閉店時刻を迎えましたが、やはり私は生きていました。

 この「1日だけ」という考え方は、心理学的に効果のあることが分かっています。以下では、その実験結果と、私が油外商品を販売した具体的な方策を述べていきます。

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