中古車販売店の経営革新計画:強み・弱みはこう見出す!

コラム

1. 中古車販売店の経営革新計画:強み・弱みはこう見出す!

 中古車販売業界は、一部大手企業の不正による風評被害の影響で、業績が大幅に低迷していますが、かつて弊社がご支援した中古車販売店は、経営革新計画の作成・実施により、業績を回復させました。

 私は、ガソリンスタンドで20年以上の間、車に接してきた経験と、中小企業診断士として200件以上の経営革新計画の作成支援に携わってきた実績があります。当記事では、これらを活かしてご支援をした中古車販売店の経営革新計画を事例として取り上げ、中古車販売店の経営者や、その支援などで関わる方向けに、経営革新計画の具体的な作成方法を解説していきます。

 前述した中古車販売店の経営革新計画は、以下の構成となっていますが、今回は当該計画書に記載した同社の「2.当社の強み・弱み」について、その記載方法を述べていきます。

 なお、経営革新計画の制度については以下の記事をご参照ください。

中小企業の売上アップに成功!経営革新計画の書き方|経営コンサル/新規事業立案/ガソリンスタンド/中小企業診断士/経営革新計画/三上康一
1.中小企業の売上アップに成功!経営革新計画の書き方   中小企業の売上アップを実現するための方法はいくつかありますが、その中でも有効な方法のひとつが前回の記事でお伝えした「経営革新計画」の策定です。今回の記事では、経営革新計画に記載するべき内容をお伝えします。 ■経営革新計画の構成  当社は、ご支援する事業者様...
経営革新計画をマーケティングに活用し新販路開拓で売上UPした事例|経営コンサル/新規事業立案/ガソリンスタンド/中小企業診断士/経営革新計画/三上康一
1.経営革新計画をマーケティングに活用し新販路開拓で売上UPした事例 ■経営革新計画とは?  経営革新計画とは、中小企業が「新事業活動」に取り組み「経営の相当程度の向上」を図ることを目的に策定する中長期的な経営計画書です。「新事業活動」とは、以下の5つに該当するものです。 新商品の開発又は生産 新役務の...

■「当社の強み・弱み」を認識する必要性

 経営革新計画の目的は、自社の競争力を高め、持続的な成長を実現することです。そのためには、自社の強みを活かして、弱みを克服することが重要です。「当社の強み・弱み」を認識することで、自社の強みと弱みについて客観的に分析することができます。これにより、活かすべき強み、克服するべき弱みを正しく把握することができます。

 また、「当社の強み・弱み」を記載することで、経営革新計画の妥当性を高めることができます。経営革新計画は、自社の現状を踏まえて策定される必要があります。そのため「当社の強み・弱み」を記載することで、自社の現状を正確に把握し、経営革新計画の妥当性を高めることができます。

■「当社の強み・弱み」の見出し方

 自社が持つ「強み」とは、自社が競合他社に比べて優れている点、「弱み」とは、自社が競合他社に比べて劣っている点であり、それを見出すために、人・物・金・情報といった経営資源の切り口を活用することも一考です。各資源の具体例を以下に示します。

  • 人的資源:人員数、経営者・従業員の経歴やノウハウ・スキルなど
  • 物的資源:設備や提供する商品など
  • 財務的資源:借入枠、金融機関との関係性、資金繰り状況など
  • 情報的資源:受発信している情報の質と量、頻度など

 これらの観点で自社と競合を比較し、優れている点は「強み」、劣っている点は「弱み」として記載します。今回取り上げた中古車販売店は、以下の強みと弱みを記載しました。

【強み】
①人的資源:従業員の質と量・ノウハウ・関係性、経営者の意識
②物的資源:機器類、立地
③財務的資源:借入金の額
④情報的資源:ネットを利用した情報発信の量

【弱み】
①人的資源:従業員の意識
②物的資源:敷地面積
③財務的資源:財務内容
④情報的資源:ホームページの充実度

 同社はこのように経営資源の切り口から強み・弱みを洗い出しましたが、実際の記載内容はもっと具体的になっています。そして、これらを見出す際、見出した後の留意点を述べていきます。

■「当社の強み・弱み」の留意点

 人間はどうしても自社の至らない部分、つまり「弱み」に着目し、それを克服しようとしがちです。しかし「弱み」を見出す目的は、「強み」を見出すきっかけをつかむことです。

 あるタクシー会社は、自社のドライバーが高齢化していることを弱みとして認識していました。ですが、高齢化によって何が発生しているかを検討したところ、知識・経験が豊富であることに気付きました。

 ここに着目して取り組んだ結果、2カ月で売上が倍増したわけですが、これは「弱み」を認識し、それをきっかけに「強み」を見出した事例です。

 経営革新計画で効果を出すには「弱みの克服」よりも「強みの強化」の方向性が重要ですので、強みを見出すために弱みを見出すという意識で取り組んでいただけたらと思います。

■まとめ

 経営革新計画に「当社の強み・弱み」を記載することは、経営革新計画の策定において重要なステップです。自社の強みを活かして、弱みを克服することで、競争力を高め、持続的な成長を実現することができます。

 経営革新計画の策定を検討している中古車販売店の経営者や、その支援などで関わる方は、この記事を参考に、強み・弱みを客観的に分析し、経営革新計画に反映していただければ幸いです。

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