人材不足から抜け出したい飲食店が行うべき3つの方策

人材確保

「まったく言うこと聞かない連中ばかりで…」昼も夜も繁盛し、テレビにも取り上げられた飲食店の経営者のボヤキを耳にしました。この飲食店の従業員はベテランぞろいなのですが、経営者が店頭で指示をしても、素直に従ってくれないことが多いようです。

 同店は、従業員の頭数が揃っていても、経営者が期待する働きをしてくれる人材がいないという意味で質的に人材不足になっています。かといって、既存の従業員を解雇して新たな人材を雇い入れようとしても、人材が集まるかどうかわかりませんし、育てるにも時間がかかります。今回のコラムでは、そのような悩みから脱却するための方策を見ていきたいと思います。

1.人材不足から抜け出したい飲食店が行うべき方策

人材不足から抜け出したい飲食店が行うべき方策1:顧客を定義する

 「顧客」を「当店に貢献する人」と定義した場合、当店で食事をして対価を支払うという、当店に金銭面で貢献する「顧客」の他に、当店で働いてその対価を得るという、当店に労働面で貢献する「顧客」もいることになります。

 つまり、前者は一般的に言う「お客様」後者は「従業員」であり、両者が当店の「顧客」ということになります。そして経営者は一般的に、前者の行動や考え方を変えようとはしませんが、後者の行動や考え方は変えようとします。同じ「顧客」でありながら、です。

 これは「お客様」からはお金をいただきますが、「従業員」に対してはお金を払っているという違いがもたらしているはずです。ですが、同店はお金をいただく代わりに料理を提供していますし、労働力を得る代わりにお金を払っており、どちらが偉いという話ではないはずです。

 ところがお金を払っている立場が強いという認識があると、相手の行動や考え方を変えようとしますから、この認識を改めて、従業員の考え方や行動を変えようという驕った行動を起こさないことが重要です。

 とはいえ、同店で働いている既存従業員の行動や考え方では、顧客満足が高まらず、理想の経営を実現することは困難ということであれば、経営者が期待できる人材を新規に入社させて、既存従業員の色を薄めていく必要があります。では、どのようにして新規の従業員を集めればよいのでしょうか。

人材不足から抜け出したい飲食店が行うべき方策2:スカウト活動を行う

 弊社が現在ご支援している別の飲食店は、顧客を従業員としてスカウトすることが効果を発揮し、人材不足に陥ったことがありません。その経営者は、積極的に顧客と会話をしてスカウトしたい人材を見極めていますが、その際のポイントは以下の「相性の5軸」それぞれのどちらを重視する人なのかを見極め、自店と相性が合うかどうかを判断しているということです。
 
 ①情を重視/理を重視
 ②行動を重視/思考を重視
 ③協調を重視/競争を重視
 ④伝統を重視/革新を重視
 ⑤スピードを重視/緻密さを重視

 当然、自店がどちらを重視するかを認識する必要があり、同店は①で理を重視、②で思考を重視、③で協調を重視、④で革新を重視、⑤で緻密さを重視しますので、それらに合致する顧客を見出し、スカウトのアプローチをすることとしています。

人材不足から抜け出したい飲食店が行うべき方策3:従業員の発想を活用する

 冒頭のボヤキを発した経営者の店舗では、従業員に自由にまかない飯を作らせて食事させています。そこで、彼ら彼女らが作った「まかない飯」をスマホで撮影し、経営者に送ってもらうことにしました。

 そして、経営者が商品化の可能性を感じた「まかない飯」があったら、それを作った従業員からレシピを聞き、ブラッシュアップして、メニューに加えることを検討することとしました。つまり、従業員が新メニューの考案に携わることができるのです。

 これによりモチベーションが向上し、仕事への姿勢が前向きになった結果、経営者の指示を受け入れやすくなる可能性が高まります。

 今回のコラムでは、人材不足から抜け出したい飲食店が行うべき3つの対策として、1.顧客を定義する、2.スカウト活動を行う、3.従業員の発想を活用する、を挙げました。人材不足を克服するヒントになれば幸甚です。

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