危険物乙4試験に合格するガソリンスタンドのスタッフを増やす方法とは?管理者がしっておくべきモチベーション向上の秘訣

コラム

 ガソリンスタンドのスタッフを危険物乙4試験に合格させるためには、どうやってモチベーションを高めればいいのでしょうか。この記事でお伝えする方法は、ガソリンスタンドだけでなく、部下に資格を取らせたいと考える、他の職種の管理職にも役立ちます。部下の能力や成果を向上させたい方は、ぜひご覧ください。.

■危険物乙4試験合格者を増やすメリット

 乙種第4類危険物取扱者とは、ガソリンスタンドで販売する商品を取扱うために必要な国家資格です。消防法では、一定数量以上の危険物を貯蔵し、または取扱うガソリンスタンドなどの施設には、危険物取扱者を置かなければならないとしています。

 ガソリンスタンドのスタッフが危険物乙4試験に合格することは、店舗運営にとって以下のメリットがあります。

  • 営業を任せることができるため、正社員の負担が軽減される
  • 危険物の取り扱いに関する知識や技能が向上することで、安全性や信頼性が高まる
  • スタッフ自身のキャリアアップに繋がる

■危険物乙4試験に合格する難しさ

 ただし、ガソリンスタンドのスタッフが危険物乙4試験に合格することは、そう簡単ではありません。一般社団法人消防試験研究センターによると、令和5年4月~10月の乙種第4類危険物試験の合格率は32.7%となっています。

 また、働きながら試験勉強をすることは、時間的にも精神的にも大きな負担となります。そのため、スタッフが危険物乙4試験に合格するためには、高いモチベーションが必要となります。

 では、どのようにしてスタッフのモチベーションを高めることができるでしょうか。

■スタッフのモチベーションを高めるポイント

 一般的に、組織を構成するスタッフは、組織から提供される「誘因」が、スタッフが組織へ提供する「貢献」と等しいか、より大きい場合に「貢献」をし続けます。

 つまり、危険物乙4試験に合格することにより得られる「誘因」が、働きながら試験勉強をするという「貢献」と等しいか、より大きい場合に、合格を目指して勉強をし続ける、ということになります。

 そこで、勉強のためのモチベーションを向上させるには、「貢献」をより小さくするか「誘因」をより大きくするかがポイントとなります。

■「貢献」を小さくする方法

 「貢献」をより小さくするには、以下のような方法があります。

  • 試験勉強のための時間を提供する
  • 試験勉強のための教材や指導者を用意する
  • 試験勉強の進捗や成果を定期的に確認し、フィードバックや励ましをする
  • 試験勉強をするスタッフに対して、仕事の負担や期待を適切に調整する
  • 試験勉強をするスタッフに対して、同僚や上司がサポートや協力をする
  • 試験勉強をするスタッフに対して、試験に合格することの重要性や意義を伝える

 これに加えて「誘因」をより大きくすることで、より大きな効果が期待できます。そこで、多くのガソリンスタンドでは、「誘因」として時給アップや手当を用意します。ですが、これだけでは、高いモチベーションに繋がりにくいことが実証研究で明らかになっています。

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■モチベーションの向上に金銭が寄与しにくい理由

 アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグ氏は、実証研究を通じて、モチベーションが高い状態を「動機付け要因」が充実されている状態とし、モチベーションが低い状態を「衛生要因」が充実されていない状態としました。

動機づけ=衛生理論のイメージ

 そして、衛生要因を充実させても、モチベーションのマイナス幅が縮小するだけであり、高いモチベーションは引き出すことが困難であることを明らかにしました。具体的な衛生要因は、図に示した通りです。

 これらの要因が充実していないと、モチベーションが低下しますが、充実していてもモチベーションが高まるわけではないということです。

衛生理論を充実させたイメージ

 例えば、給料を10倍にしたとしても、そのスタッフは張り切って働くよりも、なぜこんなに上げたのか、不安にさいなまれるようになり、モチベーションは高まりにくくなります。自身が置かれた業界、自身の能力を鑑みると、昇給してもせいぜいこの程度、という天井感を持っているからです。

 つまり、危険物乙4試験に合格させるために、衛生要因に含まれる給与を改善しても高いモチベーションは引き出すことが困難である、ということです。

 そして、ハーズバーグ氏は、動機付け要因を充実させると、高いモチベーションを引き出せることを明らかにしました。具体的な動機付け要因は図の通りです。

動機づけ要因を充実させたイメージ

 以下で、動機づけ要因に基づく具体的なモチベーションの上げ方について述べていきます。

■モチベーション向上に使いたい動機づけ要因に基づく「誘因」とは

 組織から提供される「誘因」が、スタッフが組織へ提供する「貢献」と等しいか、より大きい場合にスタッフは「貢献」をし続けると述べました。その「誘因」は、動機づけ要因に基づくと、より効果的と言え、その例としては以下が挙げられます。

  • 承認:自分が認められていると感じさせ、自信ややる気を与えます。
  • 責任:自分の仕事に対する重要性や影響力を感じさせ、自覚を与えます。
  • 達成感:自分の目標や期待に応えさせ、喜びや満足感を与えます。
  • 仕事そのもの:仕事が自分の興味や関心に合っていることを感じさせ、楽しさや意義を与えます。
  • 昇進:自分の仕事に対する評価や報酬を向上させ、目標や野心を与えます。

■まとめ

 この記事では、ガソリンスタンドのスタッフが危険物乙4試験に合格するために必要なモチベーションを高める方法について説明しました。危険物乙4試験に合格することは、店舗運営やスタッフのキャリアにとって大きなメリットがありますが、合格率は低く、試験勉強は大変です。

 そこで、スタッフのモチベーションを高めるためには、「貢献」を小さくするか「誘因」を大きくするかがポイントとなります。特に、「誘因」は、衛生要因ではなく、動機付け要因に基づくものにすることが効果的です。動機付け要因とは、承認、責任、達成感、仕事そのもの、昇進などの要因で、スタッフの自信ややる気、喜びや満足感、楽しさや意義、目標や野心を高めるものです。

 これらの要因は、危険物乙4試験に合格することによって、スタッフに与えられるものです。このように、スタッフのモチベーションを高めることで、危険物乙4試験に合格することができるだけでなく、店舗運営やスタッフの成長や幸福にも貢献することができます。

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