今回の記事では、性的同意アプリ「キロク」の問題点から、ガソリンスタンドが留意するべき顧客心理と、それに対応した接客のコツを述べていきます。
この記事では、以下の方を対象としています。
- ガソリンスタンドの経営者、管理職、現場スタッフ
- ガソリンスタンドを支援する商工会・商工会議所の経営指導員、経営コンサルタント
- 接客や販売業務の関係者
この記事を読むことによって、顧客に押し売り感を与えずに販売するためのヒントが得られます。早速本題に入って行きましょう。
■性的同意アプリ「キロク」の問題点
性的同意アプリ「キロク」は、性犯罪の法律が変わったことに合わせて作られました。このサービスは、性行為の前に、相手から同意を得たことを記録に残すことができます（個人的にはそういう記録が必要な方とはしたくない）。しかし、以下のような問題点も指摘されています。
- 強制的に同意を登録させて、同意したことにできるかもしれない。
- 当初は同意したものの、後から相手の気持ちが変わって、同意をキャンセルできるかもしれない。
つまり、「性的同意をしたこと」と「同意に納得したこと」は、別の場合もあるということです。同様に、ガソリンスタンドの関係者であれば、油外商品を勧められた顧客が「『買う』と言ったこと」と「納得したこと」は別であることに留意が必要です。
■言葉と気持ちが異なるケース
表明した意思と心理が別になる例として、私の経験をご紹介します。
数年前にある地方へ仕事で伺うことになり、予めインターネットで新幹線の指定席券を予約しておきました。移動の数日前に、大雨を伴う台風が現地を直撃しましたが、通過したため、予定通り現地に伺うことができるようになりました。
そこで、移動当日に、指定席券を受け取るために最寄駅の券売機に向かい、操作をしました。すると、突然「窓口の係員にご相談下さい」という表示が出て、券売機で切符を受け取ることができなくなってしまったのです。
そこで窓口へ行って、その旨を伝えたところ「指定席券は全てキャンセル扱いとなり、自由席券を発行することになる」と言われました。なぜそうしなければならないのかが分からず「何かあったんですか？」と尋ねたところ「先日の台風の影響なんです」と言われ、「あ、そうなんですか」と答えてしまいました。
そして、窓口で、予約した指定席券をキャンセルし、自由席券を受け取りましたが、どうも釈然としません。
このように「あ、そうなんですか」と分かったような反応をしても、実際は腑に落ちていない場合が、販売の現場で発生すると、大きなリスクとなります。
ちなみに、鉄道会社が、指定席券を発行せず、自由席券のみを発行した理由は次の通りです。その数日前に直撃した台風の影響で、車両基地に留め置いていた新幹線車両が水没してしまい、本数を極端に減らして運行しなければいけない状況になっていました。
そこで、指定した新幹線が運行できるかどうかが不明であるため、指定席券は発行できず、自由席券で乗車していただくということでした。
では、顧客が腑に落ちないまま、販売に応じるとどうなるのでしょうか。
■顧客の納得度が低い場合のリスク
例えば、顧客が店頭でタイヤの交換を勧められ、その理由を尋ねたところ、スタッフの回答に、なんとなく頷いてしまったとします。
そのような流れで交換に応じた結果、後ほど「要らないものを買わされた」「交換の必要がないものを交換させられた」という声をネットへ投稿する可能性が出てきます。それが拡散されてしまうと、売上にネガティブな影響が発生しますので、極力このようなことは防止する必要があります。
これが重要な理由は、売上が下がる要素を極力取り除くことが、売上を向上させやすいからです。穴の開いたバケツにいくら水を入れても、バケツの中の水は増えないことと同じ話です。
ガソリンスタンドでこのようなことを起こさないための方策のひとつに、顧客の意向を確認するべく、質問を挟み込んで、販売に取り組むことが挙げられます。以下では、スタッフが顧客に質問を投げかける効果に関する統計データと、効果的な２つの質問について見ていきます。
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