悲劇が起こってからでは遅い!貴方はパワハラ上司の3類型に当てはまっていませんか?

コラム

1.2つの悲劇

 群馬県前橋市に本店を置く東和銀行の川越支店にて、当時25歳の男性行員が自殺し、労災認定されたという痛ましいニュースが報じられました。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c497147859643af37289446d5f85341170b09bb3

 報道によると、男性行員の自殺は、配置転換に伴う未経験業務への重圧と、上司からのパワハラといった複合的な原因によるものと見られています。異動後わずか2カ月での突然の死、そのあまりにも短すぎる人生は、多くの人々に深い悲しみと憤りを与えています。

 この悲劇は私が住む埼玉県川越市で発生したものですが、同様の悲劇は私がかつて身を置いていたガソリンスタンド業界でも2年前に発生しています。

 これは、名古屋市内にあるエネオスのガソリンスタンドの屋上で、店舗サブマネージャーのA氏が自殺していたものです。A氏は実質的な店舗責任者だったとされ、自殺の背景には、過重なノルマと長時間労働、そしてパワハラの疑惑があったとされています。

 今回の記事では、この2つの悲劇に共通する上司からのパワハラに着目し、パワハラのタイプやその対策を見ていきます。

2.パワハラ上司の3類型

 神奈川県立保健福祉大学大学院ヘルスイノベーション研究科准教授であり、パワハラやリーダーシップを専門とする津野香奈美氏は、著書「パワハラ上司を科学する」においてパワハラを起こすリーダーを「脱線型」「専制型」「放任型」の3つに分類しています。

(1)協調性を失った脱線型

 脱線型のリーダーは、以前は適切なリーダーシップを発揮していたにもかかわらず、新しい役職に就いた途端に不適切な行動をとるとされます。彼らの特徴は、以下のようなものです。

  • 提案を取り入れない:以前は柔軟でアイデアを受け入れる姿勢を示していたものの、新しい職位についた後、自分の意見を押し通すことが多くなります。これはチームの成果に悪影響を及ぼす可能性があります。
  • 部下を競争相手と見なす:以前はチームメンバーと協力していたにもかかわらず、新しい職位についた後、部下を競争相手と見なすようになります。これはチームの協調性を損なう可能性があります。

(2)怒りや暴言を振りまく専制型

 専制型のリーダーは、自分の考え方を押しつけ、暴君のように振る舞うタイプです。このタイプは、すぐにカッとなり怒鳴ったり、「なんでこんなこともできないの?」と部下を馬鹿にしたりすることがあります。

 このタイプのリーダーは、部下とのコミュニケーションを改善し、協力的な環境を構築することが求められます。感情的な反応を抑え、冷静に問題を解決する姿勢を持つことが重要です。

(3)部下を孤立させる放任型

 ここまで2つのパワハラタイプを見てきましたが、着目するべきは放任型というタイプです。このタイプのリーダーは、判断や決断を避けがちで、部下へのフィードバックをほとんど行いません。しかし、このような無害に見えるリーダーシップスタイルが、実際にはパワーハラスメントの発生につながりやすいと言えます。

 放任型リーダーの部下は、「嫌われているのではないか」「辞めさせられるのではないか」と不安を抱えることがあります。また、適切な指示がないため、責任のなすりつけ合いなど、部下同士の衝突が生じやすくなります。もしハラスメントを避けるために部下との関わりを減らそうとしているのであれば、それは誤ったアプローチです。

 では、部下とどのように関わるべきかを見ていきます。

3.パワハラを防止する関わり方

 「パワハラ上司を科学する」の著者である津野香奈美氏は、パワハラを防止するには、集団の1人ではなく、個人として部下と接する「個別配慮型リーダーシップ」をポイントとして挙げています。これは、相手に誠実な関心を向け、個々のニーズや関心に寄り添うリーダーシップと言えます。

「一人一人に関心を寄せるのが大事だんだいな」

 では、部下に誠実な関心を寄せた質問例を見ていきます。

  • 「どこに行ったの?」ではなく「どこに行ったの?どんなところだった?」
  • 「何食べたの?」ではなく「何を食べたの?美味しかった?」
  • 「いくらだったの?」ではなく「いくらだったの?何かお得だった?」
  • 「誰と行ったの?」ではなく「誰と行ったの?どんな人?」
  • 「なんでそうしたの?」ではなく「なんでそうしたの?何か理由があったの?」

 このように質問することで、部下の話を聞き取りたいという気持ちを伝えることが可能になります。具体的に質問することで、部下も話しやすくなり会話も盛り上がりやすくなるでしょう。

さらに、誠実な関心を寄せているコミュニケーションには、以下のような特徴があります。

  • 相手の話にしっかり耳を傾ける:うなずいたり、相槌を打ったりしながら、真剣に話を聞く。
  • 相手の話を掘り下げる質:なぜそう思ったのか、具体的なエピソードなどを聞いてみる。
  • 自分の経験も話す:共通点があれば、自分の経験も話してみる。
  • 批判や否定はしない:相手の意見を尊重し、ありのままを受け入れる。

4.まとめ

 組織内での健全な労働環境を確保するためには、上司が部下との関係を構築し、誠実な関心を持つことが不可欠です。パワーハラスメントは、適切なリーダーシップの欠如やコミュニケーションの不足から生じる問題であり、それを防ぐためには個別配慮型リーダーシップが重要です。

 部下のニーズや関心に真剣に向き合い、信頼を築くことで、組織内の人々が安心して働ける環境を作り上げましょう。

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