1.持続化補助金で不採択になる「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方とは?
持続化補助金は、販路開拓などを行う小規模事業者を対象とした補助金です。当補助金の申請も、他の補助金制度と同様に計画書の提出が必須ですが、その中の「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」をどのように書くかで採択の可能性が変わってきます。
例えば、親が子どもに小遣いをせびられた場合は、なぜ小遣いが欲しいのか、いくら小遣いが必要なのかなどを確認して、小遣いを与える妥当性を判断することが正しい対応と言えます。
同様に、事業者が補助金を申請した場合は、審査という形で、補助金を交付する妥当性を判断するわけですが、その判断に大きな影響を与えるのが、今回見ていく「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」です。なぜなら当欄は補助金を使った取組みを説明する欄であるからです。
また、公募要領内「審査の観点」にある「書面審査」の項目に「補助事業計画の有効性」として、当欄に4項目もの審査項目が設けられていること(下図参照)からも、当欄をどのように書くかということは、審査結果に大きな影響を及ぼすと言えます。
そこで今回の記事では、持続化補助金で不採択になってしまう計画書の「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の特徴を取り上げます。その特徴とは、①具体性に欠ける、②工夫がない、③ITの活用がない、です。これらについて以下で詳しく見ていきます。
■持続化補助金で不採択になる「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方の特徴ワースト1:具体性に欠ける
具体的な表現は、抽象的な表現よりもわかりやすく、読み手である審査員の注意を引くことができ、説得力も高まります。また、記載した取組内容を実行しやすいため、目標を達成する可能性も高くなります。
前述の公募要領内「審査の観点」にある「書面審査」の項目「補助事業計画の有効性」にも「補助事業計画は具体的で、当該小規模事業者にとって実現可能性が高いものとなっているか。」という記載があります。
そこで弊社では、What(何)、When(いつ)、Where(どこで)、Who(誰が)、Why(なぜ)、How(どのように)、How Much(いくらで)の7つの要素を組み合わせた5W2Hそれぞれを説明することをお勧めしています。
つまり、補助金でチラシを作成・配布するのであれば、以下を説明するということです。
- 何を作成・配布するのか
- いつ作成・配布するのか
- どこで作成・配布するのか
- 誰が作成・配布するのか
- なぜ作成・配布するのか
- どのように作成・配布するのか
- いくらで作成・配布するのか
これらの問いの解答内容を記載することで具体性向上が期待でき、採択を引き寄せることになるでしょう。なお、この場合、読みやすくするために、表や箇条書きの活用をお勧めしています。
■持続化補助金で不採択になる「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方の特徴ワースト2:工夫がない
持続化補助金は、中小企業の販路開拓や生産性向上を支援するための補助金です。そのため、既に多くの企業が行っている当然な取組みよりも、目新しく、創意工夫のある取組みの方が採択の可能性は高いと言えます。
前述の公募要領内「審査の観点」にある「書面審査」の項目「補助事業計画の有効性」にも「補助事業計画に小規模事業者ならではの創意工夫の特徴があるか。」という記載があります。
ここで求められているのは、経営資源が潤沢とは言えない小規模事業者ならではの創意工夫の特徴ですから、革新的な内容でなくとも良いと考えられます。
例えば、チラシであれば「創意工夫の特徴は、経営者はじめスタッフの顔写真を盛り込んだ点」、ホームページであれば「創意工夫の特徴は、経営者の人柄が分かる動画をトップページに盛り込んだ点」といった記載内容で良いでしょう。
ただし、繰り返しになりますが、競合が実施している取組みと同じ取り組みでは、効果が薄いことに留意する必要があり、そのために「顧客ニーズと市場の動向」で競合の特徴・取組みを把握する必要があります。詳しくは以下の記事をご覧ください。
■持続化補助金で不採択になる「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」の書き方の特徴ワースト3:ITの活用がない
ITを活用してホームページやブログ、SNSで情報発信をしていくことは、新規顧客の開拓や既存顧客の維持・掘り起こしに繋がります。また、ITを活用して顧客管理をしていくことは、低コストで顧客満足度の向上をもたらすことが期待できます。よってITの活用は、当補助金の目的である、販路開拓や生産性向上に役立つと言えます。
前述の公募要領内「審査の観点」にある「書面審査」の項目「補助事業計画の有効性」にも「補助事業計画には、ITを有効に活用する取組が見られるか。」という記載があります。
ここで留意したいのは、そのためにITに補助金を使わなくてもいい、という点です。例えば、商品紹介のためにチラシの作成・配布に補助金を使うとした場合、併せてSNSの投稿で商品を紹介していくという内容であっても、ITを有効に活用する取組みと言えるでしょう。
以上、持続化補助金に不採択となる計画書の特徴ワースト3を挙げ、その解説をしてきました。不採択を避けるためには「販路開拓等(生産性向上)の取組内容」において、①5W2Hを明確にする、②自社なりの工夫を盛り込む、③ITを活用した取組みを盛り込む、がポイントとなります。
これらに注意して、採択の可能性を高めていきましょう。第13回持続化補助金の締切は、2023年9月7日(木)です。ぜひこの機会に挑戦してみてください。なお、次回の記事では「補助事業の効果」で不採択になる特徴を見ていきます。
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