1.持続化補助金に不採択となる計画書「企業概要」の特徴とは?
2014年度に創設された小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)ですが、私はこの創設当初からg現在まで、多くの事業者様のご相談に対応してきました。その相談は多くの場合、以下の2つになります。
- 計画を作ってみたが、採択されるレベルにするには、どこを直すべきか。
- 前回不採択であり、次回リベンジしたいのだが、どこを直すべきか。
つまり、不採択レベルの計画書を多数見てきたわけで、そのような計画書には共通した特徴があります。そこで、今回の記事では、そのような計画書の中の経営計画「企業概要」について、不採択になる特徴を5つ挙げます。
今回挙げた内容に当てはまらないようにすれば、不採択になるリスクが低減します。言い換えれば採択される可能性が高まるということを踏まえて、見ていきましょう。
■持続化補助金に不採択となる計画書「企業概要」の特徴ワースト1:文字しか使わない
文字だけで「企業概要」を説明する方は意外と多いのですが、審査員が文字だけの説明を読むには時間がかかえい、集中力も切れやすく、伝えたいことが伝わりにくいというリスクがあります。
文字だけで説明を記載してしまう背景には、書き手である事業者様に「文字しか使ってはいけないと思っていた」という誤解があります。公募要領や参考資料を見ても、そのような指示はどこにもありませんが、反面、文字以外を使っていいという指示もありません。であるならば、図表や写真を積極的に使って、上記のリスクを低減するようにしましょう。
■持続化補助金に不採択となる計画書「企業概要」の特徴ワースト2:リアリティがない
事業者様が書かれてきた「企業概要」を読んで、本当にその事業をやっているのか、疑問を抱きたくなるケースがあります。補助金の出し手は不正受給を防止したいですから、このようなリアリティの薄さを感じてしまうと、審査員としては高い評価はつけることが出来ません。
よって、お勧めしているのは経営者の写真を盛り込むことです。スーツを着てかしこまっている写真よりも、可能であれば仕事中の写真が効果的です。この際はマスクを外して顔が見えるようにしましょう。
また、紙面が許せば、店舗・事務所、経営者以外のスタッフ、商品の写真も盛り込むと、より効果的と言えます。
■持続化補助金に不採択となる計画書「企業概要」の特徴ワースト3:事業内容が不明
例えば「当店は飲食店です」と述べるケースと「当店は創業5年目の和食を中心とした居酒屋です」と述べるケースでは、後者の方が事業内容は明確です。「企業概要」は自己紹介の欄ですから、丁寧に事業内容を説明する必要があります。
この際に効果的なのは、自社の沿革を盛り込むことです。社歴が長くなく沿革が書きにくいようであれば、経営者の経歴を含めても良いでしょう。沿革は箇条書きにすることをお勧めしていますが、これにより右側のスペースが空くことが多く、そこに上で述べた写真を配置すると収まりが良くなります。
■持続化補助金に不採択となる計画書「企業概要」の特徴ワースト4:数字を使わない
数字は事実を表します。よって、数字を使わない自社の紹介は、事実ではなく解釈に基づく紹介と言え、客観性が疑われます。ということは、事実に基づかない不適当な計画を立案する事業者と捉えられるリスクがあります。
「企業概要」は、計画書フォーマットの冒頭部分に配置されていますから、審査員は原則として最初に読みます。その際に上記のようなネガティブな印象を与えてしまうと、その後の内容もネガティブに捉えられてしまうリスクが発生します。
さらに、公募要領には「審査の観点」というページがあり、その中には「書面審査」という欄に計画書の審査項目の記載があります。この中に「自社の経営状況を適切に把握しているか」といった内容があり(下図赤枠部分)、直近期の売上・利益総額ベスト5や、3期分の売上高・売上総利益・営業利益などを数字で示すと良いでしょう。
■持続化補助金に不採択となる計画書「企業概要」の特徴ワースト5: 見出しがない
適切な見出しを設けることは「企業概要」に書かれた内容の全体像や、要点が把握でき、読みやすくなり、内容を理解しやすくなります。計画書の内容が理解されれば必ず採択されるわけではありませんが、内容が理解されなければ採択は望めないでしょう。適切な見出しの例としては【基礎情報】【沿革】【立地】【業績】などが挙げられます。
また、見出しの下に小見出しを入れる場合もありますが、ご自身なりにルールを定め、計画書の各欄で統一しておく必要があります。例えば、見出しはかっこ付き数字をつけ、小見出しは丸囲み数字をつけ、その下は箇条書きにする、といった形です。
以上、持続化補助金に不採択となる計画書の特徴ワースト5を挙げ、その解説をしてきました。不採択を避けるためには「企業概要」において、①文字以外に写真や図表を活用する、②経営者の写真を盛り込む、③経歴・沿革を記載する、④数字で現状を説明する、⑤見出しを設ける、がポイントとなります。
これらに注意して、採択の可能性を高めていきましょう。次回の記事では「顧客ニーズと市場の動向」で不採択になる計画書の特徴を見ていきます。
■ロードサイド経営研究所ホームページ
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