持続化補助金に採択された絵画教室の経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」を解説

コラム

1. 持続化補助金に採択された絵画教室の経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」を解説

 持続化補助金に採択された絵画教室の計画書を参考に、経営計画の「2.顧客ニーズと市場の動向」の記載ポイントについて解説します。

■持続化補助金とは

 販路開拓などに要する費用の3分の2、上限50万円を補助する持続化補助金ですが、当補助金は通常枠の他に4つの特別枠があり、特別枠の中のひとつ「賃金引上げ枠」を使用すると上限は200万円に、赤字事業者は補助率4分の3に引き上がります。

 当補助金の交付を受けるためには、以下のサイトから申請書類をダウンロードし、計画書などを作成し、書面審査を通過する必要があります。特に経営計画と補助事業計画の充実度が、審査結果に大きく影響を与えます。

【商工会議所の管轄エリアで事業展開を予定している方】
https://s23.jizokukahojokin.info/

【商工会の管轄エリアで事業展開を予定している方】
https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/shinsei.html#yosiki

 では、これらのサイトからダウンロードした経営計画と補助事業計画のフォーマットにどのように記載するべきかという点をご紹介する前に、今回取り上げた絵画教室の概要をご紹介します。

■事例企業の概要

 東京・埼玉・千葉・神奈川・関西・福岡における25ヶ所以上のカルチャーセンターにおける対面教室や、オンライン教室で絵画のスキルを提供している家カフェスキル青山・八潮は、代表の草苅洋子氏が、2013年に開業した絵画教室です。

 草苅氏は、もともと絵画を専門的に学んだことはありませんでしたが、自身の子どもに絵を教えてみたところ、コンクールで最優秀賞を受賞したことがきっかけで、絵画教室を開くことにしました。

 当事業所は、これまでに持続化補助金に3回採択されており、4回目の申請では不採択となったことから、外部コンサルタントの活用を検討していました。そんな中、弊社がかつてご支援し、持続化補助金に採択されたことのある企業様からご紹介をいただき、ご支援することになりました。

 「家カフェスキル青山・八潮」における、今回の補助金の使い道は、以下の通りです。

  • チラシ・パンフレットの作成(広報費)
  • 自社ホームページの改修(ウェブサイト関連費)
  • 絵画教室で使用するテキストの改訂とコンサルティングの謝金(委託・外注費)

 では、当事業所は経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」をどのように記載したのか、そのポイントを見ていきます。

■持続化補助金に採択された絵画教室の経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」の記載ポイントその1: 見出しを設ける

 当事業所は「2.顧客ニーズと市場の動向」に以下の見出しを設けました。

(1)顧客ニーズ
 ①消費者のニーズ
 ②事業者のニーズ
(2)市場の動向
 ①市場規模関連
 ②競合動向

 「(1)顧客ニーズ」は「①消費者のニーズ」と「②事業者のニーズ」に切り分けて、各顧客層がどのようなニーズを持っているのかを示しました。

 「(2)市場の動向」は「①市場規模関連」と「②競合動向」に切り分けて、「①市場規模関連」では、ターゲットとしている業界の市場規模を示し、「②競合動向」では、文字通り競合企業の動向を示しました。

 このように見出しを先に決めると、全体構成が決まるので、盛り込む必要のある内容と不必要な内容の判断基準が設けられることになり、不必要な内容を盛り込んでしまって、伝えたいことが伝わりにくくなるリスクを低減できます。

■持続化補助金に採択された絵画教室の経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」の記載ポイントその2: 充足させる顧客ニーズを述べる

 当事業所が実施する今回の補助事業は、事業者を新たに開拓していくものでしたので、「(1)顧客ニーズ」の下に置いた「②事業者のニーズ」として記載した内容のうち、当補助事業で充足していくニーズがどれなのかが分かるように述べました。

 顧客ニーズを満たすことが、事業拡大のポイントとして挙げられ、補助事業の有効性に繋がってきます。よって、このように補助事業で満たしていくニーズがどれなのか分かるようにしたことは、採択を引き寄せたポイントと考えられます。

■持続化補助金に採択された絵画教室の経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」の記載ポイントその3: 競合動向を示す

 当事業所は「(2)市場の動向」の下に置いた「②競合動向」で、複数の競合の社名・屋号、所在地、URL、特徴を一覧表で示しました。このように競合の動向を示すことによって「正しい」強みを見出すことができます。

 「正しい」強みとは、競合よりも優れている経営資源と言えますので、比較対象を示すことは、経営計画「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」に記載した内容が、「正しい」ものであり、説得力向上が期待できます。

 なお、競合動向を「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」欄ではなく「2.顧客ニーズと市場の動向」に記載したのは、競合動向は「市場の動向」であるからです。

■まとめ

 持続化補助金の経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」は、以下のポイントを押さえて記載することで、審査員に自社の現状と補助事業の必要性や効果をわかりやすく、説得力を持って伝えることができます。

  • 見出しを設けて全体構成を明確にする
  • 充足させる顧客ニーズを述べる
  • 競合動向を示す

 これらのポイントを踏まえて、自社の経営計画「2.顧客ニーズと市場の動向」を作成してみてください。次回は「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の記載ポイントを述べていきます。

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