１．継ぎ足し給油はもうやめよう！フルサービスのガソリンスタンドが油外商品で儲かる仕組みとは
■大浴場を備えたビジネスホテルの効果と効率
出張でビジネスホテルに泊まるとき、大浴場があると嬉しいものです。部屋にユニットバスがあっても、大浴場でゆっくりと疲れを癒やすことができます。ですが、大浴場設置の目的は、顧客満足度の向上だけではありません。実は、大浴場はホテルの経営効率にも貢献していますす。
宿泊客は、大浴場を利用すると、部屋のユニットバスをほとんど使うことなくチェックアウトします。それによって、清掃員が費やす部屋の清掃時間が短くなることが期待できます。例えば、ユニットバス付きの客室50室の顧客が大浴場を利用したとします。その場合、部屋の清掃時間が1室あたり5分短縮できたとすると、１部屋5分×50室なので、1日で250分、つまり4時間以上の時間が節約できることになります。
大浴場の清掃に1時間かかったとしても、3時間以上の時間が余ります。その時間を人件費の削減や他の仕事に回すことができます。これを中長期的に見ると、大浴場の設置費用を回収できるほどの効果があると言えます。
このような考え方は、フルサービスのガソリンスタンドにも応用できることを以下で述べていきます。
■継ぎ足し給油をやめるメリット
フルサービスのガソリンスタンドでは、店舗スタッフがガソリンを給油します。給油ノズルを差し込んでレバーを引くと、ガソリンが給油され、車両のタンク内で泡立ってガソリンの液面が上がり、いっぱいになると自動的に止まります。
そして、ガソリンの泡が収まったり、タンク内の空気が抜けたりすると、液面が下がります。そのため、スタッフはもう一度レバーを引いて、継ぎ足し給油をします。
継ぎ足し給油をすると、ガソリンの給油量が少し増えます。しかし、その分だけ給油にかかる時間も増えます。さらに、ガソリンが溢れてしまう可能性もあります。溢れたガソリンは車のボディを汚し、顧客は溢れた分も含めて料金を払わなければなりません。これは顧客の不満を呼び起こすことになるでしょう。
では、継ぎ足し給油をやめるとどうなるでしょうか。例えば、1日の販売量が5㎘のガソリンスタンドがあったとします。1台あたり平均給油量が20ℓの場合は、1日の来店客は250台となります。この250台に対して継ぎ足し給油のための時間を1台に1分間使っていたとすると、250台×1分で250分、スタッフ全員で1日4時間強を費やしていることとなります。つまり、継ぎ足し給油を止めることにより、1日約4時間以上を油外商品の販売に充てることが可能になります。
継ぎ足し給油をすることで得られる利益は、それほど大きくありません。1台3ℓ多く給油できたとしても、その販売量は1日250台の来店があった場合で750ℓ、利益はマージンが15円として11,250円です。この金額を稼ぐために250分を使うなら、タイヤ交換やオイル交換の受注に費やした方が効率は良いのではないでしょうか。
■継ぎ足し給油をやめるために
このように、継ぎ足し給油を止めることによって、油外商品の販売に時間を割くことができますが、その際には顧客に対して事前に説明する必要があります。車両によっては、ガソリンタンク内のエアーが抜けにくく、オートストップ機能が働いても半分ほどしか給油されていない場合や、顧客によっては給油口の縁ギリギリまでの給油を望む場合があるからです。
継ぎ足し給油をしないことを告知する方法としては、チラシやポスターなどを利用することが考えられます。例えば、「当店の満タン給油は、原則としてオートストップが利いた時点で給油完了とさせていただきます。継ぎ足し給油をご希望なさるお客様はお申し付け下さい」といった内容をチラシに印刷し、給油開始後に手渡すとよいでしょう。なお、このチラシに油外商品の告知を盛り込むことも一考です。
このように、フルサービスのガソリンスタンドが油外収益で儲かる仕組みの1つとして、油外商品を販売する時間を確保するために継ぎ足し給油を止める、という点が挙げられると思いますが、いかがでしょうか。
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