1.茶髪問題はこうして乗り越えろ!地域密着型スーパー「ベルク」の成功事例と解決策
今回の記事では、埼玉県を中心に展開する地域密着型スーパーマーケット「ベルク」の取り組みを踏まえ、職場における「茶髪問題」の解決策についてお伝えします。
ベルクでは、2023年9月から従業員の服装や髪型を自由化し、茶髪やピアスもOKとすることで、顧客から好評を得ており、従業員のモチベーション向上も実現しました。この成功事例は、店舗側とアルバイトスタッフの間で生じがちな価値観のずれをどのように埋めるか、という問題提起に対する有効な答えを示しています。
しかし、すべての店舗がベルクのように柔軟な対応が可能なわけではありません。そこで茶髪を巡る対立をどのように解決していくか、具体的な方法を、私のガソリンスタンド店長時代の経験を参考にご紹介します。
茶髪問題とは、店舗側が茶髪を禁止するルールを設けているのに対し、アルバイトスタッフが茶髪で働きたいという希望があるときに生じる対立です。この問題を解決するためには、以下の3つの方法が有効だと考えます。
(1)茶髪の定義を明確にする
(2)茶髪は認めず、スタッフを認める
(3)茶髪を許容する条件を設ける
以下で、それぞれの解決策を説明していきます。
(1)茶髪の定義を明確にする
まず、店舗側とアルバイトスタッフの間で、茶髪とはどのような髪色を指すのか、具体的に定義する必要があります。これは、茶髪の認識には個人差や世代差があるためです。例えば、店舗側は自然な黒髪以外の色を茶髪と見なすかもしれませんが、アルバイトスタッフは明るすぎない色なら茶髪ではないと考えるかもしれません。
そこで、店舗側は下図で示したカラーレベルスケールという髪色の見本を用意し、許容できる範囲とできない範囲を示します。例えば、下図の№5~11はOKで、№12~15はNGとします。
このようにすることで、店舗側はアルバイトスタッフに対して、「全く染めてはいけないわけではないが、接客業である以上、一定の範囲内に収めてほしい」というメッセージを伝えることができます。また、アルバイトスタッフも自分の髪色が店舗側の基準に合っているかどうか確認できます。
(2)茶髪は認めず、スタッフを認める
次に、店舗側は採用時や採用後に茶髪と見なす色(上図№12~15)にしてしまったアルバイトスタッフに対して、その髪色を変えるように指導します。しかし、その際に注意しなければならないのは、その茶髪は認めないものの、スタッフの人格は否定しないことです。
つまり、「君は当店で働いてほしいが、会社のルール上、その髪色で働いてもらうことはできない。その髪色のまま活躍できるアルバイト先を探した方が、君も当店もハッピーになれる」というメッセージを伝えます。このようにすることで、店舗側はアルバイトスタッフに対して、「髪色は変えてほしいが、人としては尊重している」という姿勢を示すことができます。
茶髪にする理由の多くは「人に認められたいから」という場合がほとんどですので、このようなメッセージを伝えることで、アルバイトスタッフは「茶髪はだめだけど自分をダメとは思っていない」という気持ちを抱きやすくなります。
実際、あるガソリンスタンドでは、このようなメッセージを伝えた結果、ほとんどのアルバイトスタッフが黒髪に戻したという事例があります。
(3)茶髪を許容する条件を設ける
最後に、店舗側は茶髪を許容する条件を設けることも検討できます。例えば、以下のような条件を設けることが考えられます。
- 茶髪のアルバイトスタッフは接客時に帽子やヘアバンドなどで髪色を隠す
- 茶髪のアルバイトスタッフは接客以外の裏方作業に専念する
- 茶髪のアルバイトスタッフは若い顧客やカジュアルな雰囲気の店舗に配属する
このようにすることで、店舗側は茶髪のアルバイトスタッフの能力や個性を活かしつつ、顧客の印象や店舗のイメージを損なわないように配慮することができます。
■まとめ
スタッフの茶髪で頭を悩ませている店舗は、冒頭のベルクの取組みを踏まえ、今回お伝えした茶髪問題を解決する方法に取り組んでみてください。茶髪問題は店舗側とアルバイトスタッフの間に生じる価値観のずれです。そのずれを埋めて、店舗を活性化していきましょう。
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