1.茶髪問題を解決する3つの方法~スターバックスの成功事例から学ぶ~
■スターバックスの髪色自由化の効果
近年、流通小売り・サービス業では、従業員の身だしなみルールを緩和する動きが活発化しています。そのきっかけとなったのが、2021年にスターバックス コーヒー ジャパンが「ドレスコード」を改訂し、髪色を自由化したことです。
同社が5月に発表した調査結果によると、100%に近い店舗スタッフがドレスコードの改訂を「良かった」と感じていることがわかりました。また、利用客とのコミュニケーションが増えたと感じるスタッフも、2人に1人という結果です。
自由化により、アルバイトスタッフは自分の個性を表現できるようになり、モチベーションアップにつながっています。また、顧客とのコミュニケーションが活発化することで、顧客満足度の向上にもつながっています。
とはいうものの、なかなかスターバックスのように踏み切れない事業者も多いのではないでしょうか。私が勤務していたガソリンスタンド運営会社は、茶髪禁止というルールがあり、茶髪スタッフは髪の毛を黒くしない限り、シフトに入れませんでした。これは、茶髪に否定的な顧客の満足度を下げたくないという意図がありました。
このように、従来の流通小売り・サービス業では、従業員の身だしなみについて一定の基準を設けて、あまり自由を認めていませんでした。当記事では、このような事業者が、今後どのようにしてこの髪色の問題に取り組むべきなのかを見ていきます。
■茶髪問題を解決するための3つの方法
このような髪色問題の解決策として、以下が挙げられます。
(1)認められる髪色とそうでない髪色を明確にする
まず、店舗側とアルバイトスタッフが認められる髪色とそうでない髪色の定義を共有します。具体的には、カラーレベルスケールという髪色の見本を用意し、許容できる範囲とできない範囲を示します。
例えば、上図の№5~11はOKで、№12~15はNGとします。これにより、店舗側はアルバイトスタッフに、「多様な髪色を認めるが、一定の範囲内に収めてほしい」というメッセージを伝えることができます。また、アルバイトスタッフも自分の髪色が店舗側の基準に合っているかどうか確認できます。
ポイントは、許容される髪色の認識には個人差や世代差があるため、店舗側とアルバイトスタッフの間で共通認識を持つことが重要であるということです。よって、基準を設定する場合は、アルバイトスタッフの意見も取り入れ、納得感のある設定にすることが必要です。
(2)許容範囲外の髪色であってもスタッフの人格は否定しない
上記の基準から外れてしまうスタッフに対して、その髪色を認めない理由を丁寧に説明し、理解を得ることが重要です。ただし、このことは当該スタッフが「髪色を変えなければ働けない」という状況に置かれ、不満やストレスを感じてしまう可能性もあります。
そこで、その髪色は認めないものの、人格は認めていることを以下のように伝えます。
「会社のルール上、その髪色は認められません。しかし、あなた自身を否定しているわけではありません。」
「その髪色のまま活躍できるアルバイト先を探した方が、あなたも当店もハッピーになれると思います。」
このようなメッセージを伝えることで、アルバイトスタッフは「この髪色はダメだけど自分をダメとは思っていない」という気持ちを抱きやすくなり、許容範囲の髪色に戻すことも期待できます。
(3)その髪色を許容する条件を設ける
髪色を許容する条件を設けることは、アルバイトスタッフの能力や個性を活かすという点で、有効な手段の一つです。しかし、その一方で、顧客の印象や店舗のイメージを損なう可能性があるという点には注意が必要です。よって、以下の対策が考えられます。
- 許容範囲外の髪色のスタッフは接客時に帽子やヘアバンドなどで髪色を隠す
- 許容範囲外の髪色のスタッフは接客以外の裏方作業に専念する
- 許容範囲外の髪色のスタッフは若い顧客やカジュアルな雰囲気の店舗に配属する
■まとめ
従業員の髪色を自由化したスターバックスの成功事例を参考に、茶髪問題を解決する方法について見てきました。茶髪問題を解決するためには、(1)認められる髪色とそうでない髪色を明確にする、(2)許容範囲外の髪色であってもスタッフの人格は否定しない、(3)その髪色を許容する条件を設ける、の3つの方法が有効です。
これらの方法を実践することで、店舗側とアルバイトスタッフの間で価値観の共有や対話を行い、お互いを尊重し合うことができます。それが、店舗を活性化する本当の方法だと思います。
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