雨の日こそチャンス!ガソリンスタンドのリサイプロシティ効果活用戦略

コラム

1.天候の売上への影響

 今月(2024年2月)における2回目の3連休は、谷間の2日目こそ晴れましたが、その前後は雨にたたられました。連休商戦で売上を見込んでいたガソリンスタンドにとっては、残念な天候となってしまいました。

 売上は客数と客単価の掛け算で算出されます。雨天は外出を億劫にさせますから、ガソリンスタンドへ来店する顧客が減少します。そして、雨天は洗車の需要を低下させますので、客単価も低下します。ですが、洗車以外の油外商品の需要も低下しがちとなるのはなぜなのでしょうか。

2.リサイプロシティ効果とは

 フルサービスのガソリンスタンドでは、給油中に車の窓拭きをします。窓を拭くと窓がキレイになり、視界が良くなります。ここで意識したいのが、リサイプロシティ効果です。

 リサイプロシティ効果は、他者に何かをしてもらうと、何かを返したくなる心理的な効果を指し、「リサイプロシティ」は「返報性」または「報恩性」を意味します。この効果の実証研究として、1971年に行われた米国の心理学者デニス・レーガンによるものがあります。

 被験者2人が美術品の評価を行うという実験に参加しました。しかし、被験者の1人はレーガンの仲間であり、彼は複数の被験者に対して、好意的な役割と無関心な役割を演じ分けました。

 好意的な役割を演じる際は、実験している途中で被験者にコーラを差し入れます。無関心な役割を演じる際は、コーラを差し入れません。

 実験終了後、レーガンの仲間である演技者は自分が販売しているくじ券を購入するよう被験者に依頼しました。その結果、コーラを受け取った被験者は、そうでない被験者よりもくじ券を購入する確率が大幅に高く、購入枚数も大幅に多かったのです。

 これは、コーラを受け取った被験者が「お返しをしなければならない」という心理状態に陥り、くじを購入して欲しいという依頼に応じやすくなったと考えられます。

 ガソリンスタンドにおいては、このリサイプロシティ効果はどのような影響を及ぼしているのでしょうか。

3.リサイプロシティ効果の影響

 これを踏まえると、フルサービスのガソリンスタンドでは、窓を拭いてもらって視界を良くしてもらったため、リサイプロシティ効果が働き、油外商品の販売に結び付いている可能性があります。

 このことは、雨天に窓を拭いてもらっても視界が良くならない、また、車がきれいな状態で窓を拭いてもらっても視界が変わらないことは、リサイプロシティ効果が働きにくいことを意味します。

 よって雨が降っていたり、もともと車がきれいで窓拭きを望まなかったりする時は、窓拭き以外のサービスを提供することでリサイプロシティ効果を働かせる取組みが必要と言えるでしょう。以下では、フルサービスとセルフサービスのガソリンスタンドに分けて、その具体策を見ていきます。

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