開放度と開放感
私が最寄り駅に向かう途中に、ある寿司店があります。持ち帰りでもなく、回転寿司でもなく、昔ながらの「回らない寿司」を提供している寿司店です。そして、回らない寿司店に共通しているのが、店舗の開放度と開放感が低い、という点です。
八百屋さんや魚屋さん、ドラッグストアなどは、営業中は店舗の扉が大きく開かれ、店舗と前面道路を隔てる心理的な敷居が高くありません。このような店舗が開放度の高い店舗です。
反面、1個100万円の宝石を売る店や銀座のクラブなどの高級店は、営業中でも扉がしっかり閉じられていますから開放度が低い店舗になります。
また、コンビニエンスストアや回転寿司店、眼鏡店などは、扉を開けずとも店内の様子が見えます。このように店内の様子が店外から分かりやすい店舗が開放感の高い店舗です。
前述の1個100万円の宝石を売る店や銀座のクラブなどの高級店は、店舗の外から店内の様子が分かりませんので、開放感が低い店舗になります。
つまり、開放度・開放感が高い店舗は大衆店、開放度・開放感が低い店舗は高級店という位置づけになります。そして、回らない寿司店も開放度・開放感が低いので、高級店に位置づけられます。
さて、冒頭の寿司店ですが、店頭には以下の告知物があります(一部画像に処理を加えています)。
この寿司店は、外からは店内が見えないため、開放度は低いわけですが、店主や娘さんもしくはお孫さんと思しきお嬢さんの考えを店頭の通行客へ伝えている点で開放感を上げています。広く顧客を呼び込もうという意欲が伝わってきます。
整合性のある経営戦略
ここで留意しなければならないのは、開放感を向上させるということは、大衆化へ舵を切っている、ということです。「誰でもいつでも来て下さい」「安い」といった情報発信による開放感の向上は、店舗を大衆化の方向へ進ませます。
その場合、開放度も向上させないと、発信しているメッセージと店構えに整合性が喪失され、顧客は違和感を覚えます。
とはいえ、簡単に店舗改装をするわけにはいきません。そこで、発信する情報を店構えに合ったものとする必要があります。「寿司一人前5,000円~」「クレジットカード使えます」「要予約」といった情報であれば、開放感は上がれど、開放度が低いままでも通用するでしょう。
一般に入りやすい店舗は大衆路線、入りにくい店舗は高級路線です。儲かる店は、発信する情報、店構え、価格、品質、提供スピードなど、全てにおいて整合性のある戦略に基づいた経営が実現できているのです。
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