お金が在庫に変わり、在庫がお金に変わる
雑貨店の特徴は、ある特定メーカーに縛られず、広く様々なメーカーから仕入れることができる点です。反面、慎重に需要動向や商品の魅力を見極めないと、どんなに販売促進策を打とうとも販売に結びつかず、結果として不良在庫になるリスクを抱えます。
在庫は、その店舗の「お金」が「商品」に形を変えたものです。現金であれば、給与や仕入代金などの支払いに使ったり、広告宣伝費に使ったり、様々な用途に使うことができますが、いったん仕入れてしまうとそうはいきません。
この現金を使って仕入れた商品は、売れることによって仕入に使った現金よりも大きな現金に姿を変えます。しかし、売れなければ商品のままです。このように長い期間、商品のままとして在庫されているものを不良在庫と呼び、最終的には廃棄することにより、その商品の仕入に使った代金を捨てることになります。
つまり、在庫とは、店舗の利益を左右するという意味を持っています。
差別化の考え方
創業180年を迎えようとしている、ある雑貨店があります。衣料品、食品、寝具、文具、日用品など多岐にわたる品ぞろえをしています。業歴が長い分、これまで、様々な商品を仕入れてきましたが、需要動向や商品の魅力を見誤って、不良在庫となりつつある在庫もそれなりにありました。
この不良在庫ですが、当然のことながら、売れないので不良在庫になったわけです。よって、競合の雑貨店では取り扱っていないことが推測されます。それは、商圏内でその商品を取り扱っているのは、自店のみ、ということを意味します。不良在庫を持っている、という差別性があるわけで、この差別性をどのように優位的にするかを考えます。
そこで、同店の不良在庫、言い換えれば他店では取り扱っておらず、自店でしか扱っていないものを全従業員にリストアップしてもらいました。下記はその一部です。
・アルミ釜
・座敷箒(ほうき)
・洗濯板
・ブリキのバケツ
・包丁の柄
・アルミ製おたま
・あられ炒り
・かまど
・木炭コンロ
店舗の滞留時間を伸ばす
小売店では、顧客が店舗にいる滞留時間が長ければ長いほど、購買の確率が上がります。かといって、それを狙って、買いたい商品が探しにくいような陳列としていては、買い物がしにくく、他店への流出を促進させてしまいます。
そこで、顧客の足を止めさせて、滞留時間を延ばす方策が考えられますが、その方策の一つとして、前述の不良在庫となりつつある商品を使って「昭和の主婦が頑張った家事コーナー」を売場に設置します。
留意点として、単純に陳列するのではなく、マネキンに割烹着を着せ、前述の商品を使って昔の家事を行っているシーンを再現します。販売することよりも、顧客に懐かしんでいただき、店内滞留時間を長くすることを目的とします。
「あばたもえくぼ」と言いますが、見方を変えれば、不良在庫を有効な集客ツールとなり得ます。それは、人材についても言えることなのかもしれません。
さて、貴店では、不良在庫がありますか?その不良在庫をどのように活かしますか?
【参考記事】品揃えで差別化する
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