セルフサービスのガソリンスタンドで油外商品を売る前提
セルフサービスのガソリンスタンドは1998年に解禁され、急速に増加しました。2000年度は全国で400カ所であったのが、4年後には10倍に増加しています。
そして、2016年には全国のガソリンスタンドの3割を占めるまでになりました。しかし、それ以降、出店ペースは伸び悩み、2017年での前年度に対する伸び率は1.3%となっています。
これには、セルフサービスのガソリンスタンドの賃貸期間は15年というケースが多く、店舗を借りて事業展開したものの、思ったほど儲からず、店舗賃貸契約の更新時期に更新せず、撤退してしまうことが背景としてあります。
かつて、セルフサービスのガソリンスタンドが解禁された直後は、売れる油外商品はセルフサービスの洗車のみで、それ以外は売れないだろうという見立てが非常に多かった印象があります。
あるガソリンスタンドでは、セルフに改装したことにより、エンジンオイル交換はなくなると判断し、在庫しているエンジンオイルを全て同系列の他店に譲ってしまいました。
また、別のガソリンスタンドでは、セルフに改装した後、来店客に対する「いらっしゃいませ」の挨拶を廃止してしまいました。
これらの事例は、事業者側が「セルフだから油外は売れない」と決めつけてしまった結果です。反面、「セルフだからこそ油外は売れる」という前提で大きな収益をあげている事業者も存在します。
油外商品の上手なセールストークとは
このような事業者に共通しているのが、フルサービスからセルフサービスに転換した際に、人員を極端に減少させないという点です。通常、フルサービスからセルフサービスに転換すると、人員が余剰になると思われがちですが、もともと人不足で事業展開していた店舗がほとんどですから、これまでスタッフの給油に費やしていた時間を油外商品のセールストークを発揮する時間に使える、と考えます。
実際に、セルフで給油中の顧客は、車外で給油ノズルを握り、給油が終わるのを待つばかりですので、声を掛けることはたやすいですし、実際に声を掛けてみると、売れることが分かります。
ここで、気をつけなければいけないのは、給油中に声を掛けるということは、顧客の作業の流れを乱すということです。顧客には、車両の給油キャップを外し、ノズルを差し込み、レバーを握って給油を開始し、給油が終わったら精算機でお釣りとレシートを受け取る、という一連の流れがあります。そしてスタッフは、顧客が給油を開始した時点で声を掛けに行きます。
顧客とスタッフのやり取りが終わって、結果としてその場では油外が売れなかった場合、通常は、顧客は精算機からお釣りとレシートを取って退店します。しかし、店舗スタッフとのやり取りが終わると、ホッとしてしまうのか、お釣りとレシートを取り忘れるケースが多いのです。
退店後にお釣りの取り忘れに気付いた顧客は、「あの店員が声を掛けてさえこなければ、お釣りの取り忘れはしなかったのに」と思いますので、店舗の評価が下がってしまいます。
よって、セルフサービスのガソリンスタンドで、給油中の顧客へ油外商品を売るために声掛けをする際は、「給油後のお釣りの取り忘れにご注意下さい」と必ず一言添える必要があります。特に、断られた時にこそ、この言葉は威力があります。給油が終わると機械が同様の台詞を発音するケースもありますが、やはり人には人が発する言葉が届きやすいのです。
上手なセールストークには様々な種類がありますが、顧客目線から小さな顧客不満足度を防止していくためのトークも上手なセールストークと言えるでしょう。この積み重ねが、大きな顧客満足の発生、そして油外商品の購入につながります。
さて、貴店では、小さな顧客不満足度を防止する取り組みとして何を行っていますか?
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