持続化補助金<低感染リスク型>に採択された写真スタジオの事例④

小規模事業者持続化補助金

 同店は写真スタジオを営んでいますが、新型コロナウイルス感染症の影響による外出自粛により、写真撮影の需要が激減し、業績が悪化してしまいました。

 そこで、インターネットで写真を販売したり、撮影をより充実させるために撮影機器の設置をしたりするための費用を小規模事業者持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>で調達することとし、計画書を作成して申請をした結果、採択されました。この同店が作成した計画書の内容から、採択を引き寄せる計画書の書き方を見ていきます。

 下図は当補助金を申請する際に作成する「【様式1】経営計画および補助事業計画」の構成ですが、今回のコラムでは赤枠部分<補助事業計画>「3.補助事業の効果」の書き方について見ていきます。なお、当コラムの内容は2022年2月26日時点の情報に基づいています。

図表

1.持続化補助金<低感染リスク型>に採択された写真スタジオの事例 [補助事業の効果編]

持続化補助金<低感染リスク型>に採択された写真スタジオの事例 [補助事業の効果編](1)「補助事業の効果」を記載する

 同店は、補助事業の効果を記載するべき当欄に、売上高や利益などの目標を記載していました。目標は<経営計画>「1.自社の事業概要」に記載するべき内容であり、当欄への記載は求められていません。

 補助事業の効果として「これら目標値を達成することができる」といった意味合いで記載したのかもしれませんが、もしそうであればその旨を記載しないと補助事業の効果を記載したことになりません。

 よって、当欄に求められている補助事業の効果という内容をしっかり書いていれば、同店の採択はより確実になった印象があります。なお、このミスは他の申請者においても数多く目にしますので、採択を目指しておられる方はご留意ください。

持続化補助金<低感染リスク型>に採択された写真スタジオの事例 [補助事業の効果編](2)定性的効果を記載する

 売上や利益といった数値で表すことができる効果を定量的効果と呼びますが、それが困難な効果を定性的効果と呼びます。前者は量を表し、後者は質を表しますが、両面から効果を検討することは、見込める効果をより多面的な視点で検証できますので、多くの効果を洗い出すことが可能となります。

 同店は、前述の目標を定量的効果と捉えているきらいがありますが、定性的効果として、提供できるサービスや商圏が拡がるといった内容も記載していたことが採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

持続化補助金<低感染リスク型>に採択された写真スタジオの事例 [補助事業の効果編](3)中長期的な効果を記載する

 同店は、補助事業の実施によって短期的かつ直接的にもたらされる効果の他に、今回の補助事業をきっかけとして、どのように中長期的な事業展開を行っていくのかも記載していました。

 このように補助事業をきっかけとして、中長期的に事業を展開できるという点も補助事業の効果と言えます。中長期的な事業展開は、短期的なそれよりも大きな効果が見込めますが、それを訴求できたことも同店が採択を引き寄せた要因のひとつと考えられます。

 今回のコラムでは、持続化補助金<低感染リスク型ビジネス枠>に採択された写真スタジオの<補助事業計画>「3.補助事業の効果」から、採択を引き寄せる書き方として(1)目標を記載しない、(2)定性的効果を記載する、(3)中長期的な効果を記載する、を述べました。

 今回まで4回にわたり同店の事例を採り上げてきましたが、そのポイントは以下となります。

 なお、同店を採り上げたこれまでのコラムは以下となります。

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