持続化補助金採択事例から見えてきた採択されやすい事業者の特徴⑦

小規模事業者持続化補助金

 これまで小規模事業者持続化補助金は、<一般型>の他に<コロナ特別対応型>、<低感染リスク型ビジネス枠>と、外部環境の変化に応じて複数のケースが創設されてきました。弊社ではそれぞれの申請支援を行ってきましたが、そのうち111事業所については以下のサイトで事例としてご紹介しています。

 これらのご支援をしてきた中で感じているのは、<一般型>であれ、<コロナ特別対応型>であれ、<低感染リスク型ビジネス枠>であれ、採択される事業者には共通点があるということです。

 つまり、<一般型>で採択される(計画書ではなく)事業者は、<コロナ特別対応型>や<低感染リスク型ビジネス枠>に申請しても採択される可能性が高いでしょうし、その逆も言えると感じています。

 今後、小規模事業者持続化補助金は、上記<一般型>は<通常枠>に名前を変えるとともに<成長・分配強化枠>、<新陳代謝枠>、<インボイス枠>が創設される見通しですが、これについても同様のことが言えるはずです。

 そこで、今回のコラムは前回のコラム持続化補助金採択事例から見えてきた採択されやすい事業者の特徴⑥に引き続き、これまで弊社がご支援してきた事例から、採択される可能性が高い事業者の特徴を見ていきます。

1.持続化補助金採択事例から見えてきた採択されやすい事業者の特徴 part7

持続化補助金採択事例から見えてきた採択されやすい事業者の特徴part7(1)物事を数値で述べることができる

 自社の経営状況を「売上が下がっている」と述べる場合と「売上が前年同月より50%下がっている」と述べる場合があります。売上低下の状況がよりよくわかるのは後者の方であり、数値で物事を述べるということは、事象の高い具体性を伝達することが期待できます。

 また「目標は3年後に売上を上げること」と述べる場合と「目標は3年後に売上を1,000万円上げること」と述べる場合があります。この場合、売上高目標を3年後にどの程度達成したかがより理解できるのは後者であり、達成度に基づいて次の有効な打ち手を検討することが可能になります。

 このように数値で物事を述べることは、具体性が高まったり、有効な打ち手が見出しやすくなったりするため、計画書にも数値で物事を述べることのできる事業者は採択されやすい印象があります。

持続化補助金採択事例から見えてきた採択されやすい事業者の特徴part7(2)情報を複数の軸で検討できる

 「今後のプラン」を記載する場合に、今後実施したいこと「だけ」を列挙される事業者がいますが、これは「今後のプラン」ではなく「タスクリスト」を記載したことになります。これは情報を「実施したいこと」という単一の軸で捉えた結果です。

 この「実施したいこと」に時間軸を加えた複数の軸で表現すると、まさしく「今後のプラン」が作成できるはずです。原則として、いつなにを実施するのかが明確になっていてこそ「プラン」と言うことができるからです。

 現状を分析する際に、内部環境と外部環境から検証したり、好ましい傾向と好ましくない傾向から検証したりすることも、情報を複数の軸で検討しているケースであり、このように多面的な視点で情報を検討することができる事業者も採択されやすい印象があります。

持続化補助金採択事例から見えてきた採択されやすい事業者の特徴part7(3)「経営計画」と「補助事業計画」を切り分けることができる

 小規模事業者持続化補助金は「経営計画」と「補助事業計画」の記載が求められてきましたし、今後もそうなると思いますが、経営計画に補助金を何に使いたいのかという内容の補助事業計画を記載してしまうケースは、非常に多い印象があります。

 確かに補助金が欲しいので計画書を作成している方の心情を考えると、とにかく補助金を使った取組みの妥当性や、その内容を書きたくなる気持ちが理解できないことはありません。

 ですが、経営全体の計画を記載する「経営計画」の欄に「補助事業計画」を記載することは、読み手の混乱を招き、計画書の内容が伝わりにくくなってしまうリスクがあります。さらには、経営計画の内容が薄いものになってしまい、計画の完成度が下がってしまうというリスクも発生しがちです。

 定められた部分に定められたことを記載するために「経営計画」と「補助事業計画」を切り分けて考えることのできる事業者は採択されやすい印象があります。

 今回のコラムでは、持続化補助金採択事例から見えてきた採択されやすい事業者の特徴として、(1)物事を数値で述べることができる、(2)情報を複数の軸で検討できる、(3)「経営計画」と「補助事業計画」を切り分けることができる、を挙げました。次回のコラムでも引き続き、そのような事業者の特徴を見ていきます。

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4.電子書籍のご案内(2021年3月22日発行)

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