自社の強みを見つけるための3つの手法プラス1つの手法

戦略の考え方

 自社の強みは差別的優位性の源泉です。よって、自社の強みを認識しておく必要がありますが、なかなか認識できていない事業者も多いようです。そこで、どのような手法で強みを認識するべきかを述べています。

手法1 強みを見つける覚悟を決める

 昨日のコラム配達・集金をする新聞店が検討すべき今後の経営とはで強みを活かした牛乳店、新聞店のご紹介をしました。

 自社の強みを活かすことは、経営の鉄則ですが、そのためには当然のことながら強みを認識する必要性があります。ところが、これを認識できないケースが意外と多いのです。前述の牛乳店は、外部から連携の申込を受けて初めて自店の強みを認識しました。それまでは、自店の強みを認識していなかったのです。

 まず、自社の強みを認識するには、「自社には強みが絶対にある」という前提で、「自社の強みを絶対に見つける」という覚悟が必要です。覚悟というと大袈裟な印象を持つかもしれませんが、強みが事業展開における競争優位性の源になる以上、強みを認識していないことは経営の弱体化に繋がります。そのため、血眼になって自社の強みを探さなければなりません。

 よって、自社の業績を拡大するには、「自社の強みを絶対に見つける」という覚悟が必要なのです。

手法2 自分の視点で客観的に自分を見る

 自社の強みには、経営者自身の強みが含まれます。そこで経営者自身の強みを見出す必要があります。

 仮に、貴殿がどなたかと白熱した議論をしていたとします。お互い相手を説得しようと熱くなっていますが、結論が見えず、議論が迷走しそうになっています。
 この場合、貴殿は貴殿の目で相手を見ていますし、相手は相手の目で貴殿を見ています。貴殿の目を1カメ、相手の目を2カメとした場合、全く別の目で2人を見ている第3者の視点、つまり3カメで見てみると、お互いのコミュニケーションはどのように見えるでしょう。3カメの映像を思い浮かべ、テロップを流してみてください。

 この視点があると、議論が迷走しそうになった場合に、「ところで、お互い1時間ほど議論してきたけれども、この議論自体どう思う?」と相手に投げかけることができ、お互いが一歩引いた客観的な見方が出来るようになります。
 これをコーチングでメタコミュニケーションと言います。「メタ」とは「高次の」「超」といった意味合いがあります。

 「メタ」の視点、つまり3カメで自身の働きぶりを見てみたり、経歴を振り返ったりすることにより、客観的な視点から強みを検証することが出来るようになるでしょう。

手法3 社員の特徴を徹底的に洗い出す

 私たちは日々、人・物・金・情報という経営資源を活用して事業展開をしていますが、中小企業の強みは、多くの場合「人」に集約されます。
 よって、全社員の氏名を書き出し、各社員の特徴を徹底的に洗い出します。「あばたもえくぼ」と言いますが、個々の社員の特徴をポジティブに捉え、事業に有効な強みを見出します。

プラス1つの手法 外部資源を活用する

 ある産業カウンセラーから聞いた話ですが、カウンセラーである自分の子どもさんにカウンセリングの必要性が出てきたとします。その場合、親がカウンセリングを行うことは良い結果が出ないのだそうです。これは、自分の子どもを客観的に見ることができない、という理由によるものです。よって、自分の子どもにカウンセリングの必要性が出てきた場合は、自分以外のカウンセラーに子どものカウンセリングを依頼するのだそうです。

 コンサルティング会社が経営破綻するケースもこれに当たります。他社のコンサルティングは出来るのに、自社のコンサルティングを自社で実施しようとすると、距離が近すぎて客観的な判断ができなくなってしまうのです。

 これらを踏まえ、当社も、過去に当社をコンサルティングしていただいたことがあります。つまり、コンサルティング会社がコンサルティングを受けたのです。これは、当社にとって非常に斬新な指摘を受け、事業拡大に大きく役に立ったと感じています。

 上記の3手法を用いても、強みがどうしても見えない、ということであれば、コンサルティング会社を活用することも一考です。費用面で厳しいようであれば、各地の商工会、商工会議所から経営指導を受けることも一考でしょう。会員であれば費用負担はありませんし、商工会、商工会議所の指導員が、私たちのような専門家を派遣してくれることもあります。

 これらの手法を用いて、競争優位性の源泉を是非、見出してください。

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