自分の買い物が正しかったと思いたい顧客の心理
ガソリンスタンドで給油中に、店舗スタッフから「エンジンルームの点検はいかがですか」と言われて、点検をお願いすると、〇〇が汚れているので交換した方が良い、△△が少ないので補充した方が良い、など商品のお勧めを受けるケースがあります。
車に対する知識が豊富ではない顧客が、店舗スタッフに言われるがまま、そのお勧めに応じて交換や補充をすると数万円の請求になることもあります。
顧客としては、その金額に驚きつつ会計をして退店しますが、帰宅後に今回の出費が正しかったのかを確認したく、周囲の人間に今回の出費について話をします。この心理を認知的不協和の理論と言います。
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その結果、当該ガソリンスタンドの店舗スタッフのお勧めに応じる必要はなかったと判断した場合、クレームに発展することがあります。店舗としては、クレームが解決し、また当店を使ってくれれば良いのですが、往々にして再来店する顧客はいないだけでなく、悪い口コミが拡がり、他の顧客も離れてしまうことがあります。
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顧客の買い物を後悔させないために
消費者を守るための国の制度としてクーリングオフ制度があります。これは、訪問販売や電話勧誘販売などで契約をしてしまった後に、一定期間内であれば理由に関わらず当該契約を消費者が一方的に取り消すことができる制度です。
これは、人が社会生活を営むにあたって締結する契約は、公の秩序や強行法規に反しない限り、当事者が自由に締結できるという契約自由の原則の元、特例的な制度です。そして、上述のような店頭販売は対象になっていませんが、言われるがまま購買してしまい、後悔する消費者が多いことを受けています。
あるガソリンスタンドでは、顧客の車両を点検した際に、点検結果をカルテとしてお渡ししています。そのカルテには、すぐに交換が必要なものから、出来れば交換した方が良いものまで、優先順位を示した上でお渡ししています。かといって、渡すだけでは売れません。顧客の購買を促すように口頭でもお勧めはします。
ここに儲かるガソリンスタンドが今日のパンよりも明日の糧を求める理由があります。
今日のパンを求めるとどうしてもその場で決めていただきたくなりますから、押し付け的な販売になりがちです。明日の糧を求めることは、顧客に買い物の後悔をさせることを防ぎ、買う側・売る側双方が気持ちよくやり取りできるとともに継続的な購買に繋がります。
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