「顧客ニーズと市場の動向」は自社の外部環境を述べる欄ですが、そもそも外部環境に意識を向けたことがない事業者も数多く存在するのではないでしょうか。事業が小規模であればあるほど、経営者が目の前の業務に忙殺され、外部に目を向ける余裕がなくなることがその大きな要因だと感じています。
ですが、事業が苦境に陥る理由のひとつに「外部環境の変化に対応できていないから」というものがあるはずで、補助金の申請などをきっかけに外部環境がどうなっているのか調べてみることは有益なのではないでしょうか。
今回は、小規模事業者持続化補助金を申請する方のために、下記サイトからダウンロードできる旅行業の計画書をもとに<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方を見ていきます。
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なお、当コラムの内容は2022年6月8日現在の情報に基づいています。また、今回見ていく経営計画内「2.顧客ニーズと市場の動向」の記載例は以下となっており、弊社が加筆した下線や吹き出し部分は以降で解説していきます。
1.旅行業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2
旅行業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2(1)過去から将来の見通しを記載する
当欄のタイトルは「顧客ニーズと市場の動向」なわけですが、上図記載例では「市場の動向」として【市場概況】を述べています。あくまでも「動向」を述べるわけですから、過去から現在のこと、そして今後の見通しを記載することが必要と考えられます。記載例の下部にグレーの塗りつぶし部分の但し書きがありますが、ここにもその旨が記載されています。
記載例では、これまでバスツアー客は減少傾向であったという過去から現在のこと、GOTOトラベルなどにより需要復活の期待が持てるという今後のことが記載されており(上図黒線部分)、この要求に沿った内容となっている点が採択を引き寄せるポイントとなるでしょう。
旅行業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2(2)根拠の出典を記載する
説得力の高い計画書は「なぜそのように言えるのか」という疑問に答えることのできる根拠が記載されているものです。その根拠は事業者の勝手な解釈ではなく、事実に基づくものや、信頼のおける機関が公表した情報であるものなどがポイントとなるでしょう。
当記載例においては、三密を回避した旅行に対するニーズが高い根拠として「〇〇研究所の〇〇」が公表した情報(上図赤線部分)を根拠として用い、説得力を向上させています。
このような情報はインターネットで検索すると容易に見つけることができますが、その情報が信頼のおける機関が公表したものかどうかという点は確認する必要があり、政府系の機関であればまず問題はないと考えられます。
旅行業の計画書記載例から見る持続化補助金の採択ポイントPart2(3)競合動向を記載する
当記載例では【競合他社との差別化】という見出し(上図青線部分)の下、地元同業者の特徴を述べています。これも当欄のテーマである外部環境分析に該当しますが、これを記載することによって、次の欄「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」の説得力が向上することが期待できます。
というのも「強み」は競合と比較して優れている経営資源なわけですから、比較対象を述べていないと、読み手は本当に強みと言えるのか疑問を抱くことになるからです。
また、環境分析の手法として「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」を切り口に用いた「3C分析」がありますが、競合動向を述べることはこの手法に基づいたヌケモレのない分析が可能になります。
つまり、今回見ている「顧客ニーズと市場の動向」でCustomer(市場・顧客)、Competitor(競合)を分析し、前回のコラムで見た「企業概要」や次回のコラムで見ていく「自社や自社の提供する商品・サービスの強み」でCompany(自社)を分析するということです。
今回のコラムでは、小規模事業者持続化補助金の申請時に作成する<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」の書き方におけるポイントとして、(1)過去から将来の見通しを記載する、(2)根拠の出典を記載する、(3)競合動向を記載する、を述べました。次回のコラムでは<経営計画>「3.自社や自社の提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
なお、当記載例を取り上げた前回のコラムは以下となります。
2.小規模事業者持続化補助金の計画書作成をサポートします。
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小規模事業者持続化補助金に応募したくなる本