洗車時に点検された顧客の心理
ガソリンスタンドが顧客から洗車を受注し、洗い終えた車の拭き上げなどの仕上げをしている最中に顧客の許可なしにボンネットを開けてエンジンルームを点検するケースは多いと思います。
ボンネットを開けて、その縁を拭いている店舗もありますが、拭いた後は点検をしているわけで、その店舗がボンネットを開ける目的は、やはりエンジンルームの点検なのだと思います。
そもそも、水滴を落とすことが目的で開けるなら、トランクや給油口も開けるべきですが、それはしないでボンネットだけを開けるのは点検をする方便にしかすぎません。
この点検について顧客としては、あからさまな不快感を示す方もいますが、多くの場合は黙って待っています。その黙って待っている心情をガソリンスタンドの経営者、店長は想像したことがあるでしょうか。
免罪符が与えられたわけではない
顧客が依頼したのは洗車であり、それにより車をきれいにしたいというニーズを満たそうとしています。よって、店舗側としては洗車を迅速に行うことを優先するべきであり、車を預けたから何をしてもよいという冤罪符を与えられたわけではないことを強く認識する必要があります。
これがエスカレートしてしまったのが以下の事例です。
あるガソリンスタンドでエンジンオイル交換を依頼した顧客が、その店舗に苦情を申し立てました。その理由は、勝手に車検証をコピーされたためです。
車検証には、車検の期限、顧客の氏名・住所が掲載されていますので、車検の期限に合わせてダイレクトメールを送付することが可能であり、車検の販売促進において有効に活用することが可能です。
顧客としてはオイル交換のために車を預けたわけであり、車内にある物を自由に使っていい、ましてや個人情報が記載された車検証を勝手にコピーしていいとは一言も言っていないわけで、苦情が申し立てられました。
関係性構築のきっかけは雑談から
顧客と店舗で深い関係性が構築されていれば、「預けた車は何をしてもよい」という免罪符が与えられたと言え、洗車後の点検から車検証のコピーまで何をしてもよいのかもしれません。
ですから、顧客の許可なしに点検したり、車検証のコピーをとったりするのであれば、顧客との関係性を構築して、その免罪符を手にする必要があります。
給油中のちょっとした雑談が関係性構築のきっかけになりますが、以下の切り口で全スタッフが雑談を心がけるようにしてみてはいかがでしょうか。キーワードは「キドニタチカケシ衣食住」です。
キ:気候
ド:道楽(趣味・テレビ・映画・スポーツ)
ニ:ニュース
タ:旅
チ:知人
カ:家族
ケ:健康
シ:仕事
衣:ファッション
食:グルメ
住:家・住まい
このような切り口から声を掛け、顧客の反応によってその後の会話の展開を検討します。もっとも雑談をしたくない顧客もいますので、見極めが必要です。
そして、雑談による関係性構築のポイントは、関係性が構築できるまで雑談の声掛けを継続することです。関係性を構築できる店舗は、関係性が構築されるまでの取組みを継続し続けた店舗なのです。
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