1.シフト時間より早く帰す場合の留意点
(1)早帰りに対する不満
ロードサイド店舗は、雨の日に来店客数が極端に落ちますが、そのような日にアルバイトで働く方々を予め定められた終業時刻よりも早く帰す店舗があります。
例えば、時給1,000円で働くアルバイトさんが、毎回10:00~16:00の間で休憩60分(5時間勤務)の勤務シフトを組まれていたとします。この場合、その日にもらえる予定の給与は5,000円です。しかし、その日は来店客が少なく、店長から12:00で早帰りして欲しいと言われました。すると本日は2時間の勤務になりますので、もらえる額は2,000円となってしまいます。
この早帰りの指示に対して、経営者・店長が思っている以上に、不満を持っている店舗スタッフが多いことをご存じでしょうか。Yahoo!知恵袋で「早帰り」「早上がり」と検索すると、この件について、法令違反なのではないか?という質問がわんさと見つかります。
早く帰ることができる点は良いけれども「店が暇だから早く帰って下さい」は店の都合であり、本来もらえるはずだったお給料が減る点に納得のいかない方が多いわけです。そこで、不満が表出してもしなくても、経営者・店長はアルバイトさん全員に納得のいく説明をする必要があります。
(2)早帰りに関する規定
労働基準法第26条では、休業手当の定めとして「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の100分の60以上の手当を支払わなければならない。」としています。
今回の事例において、1日の平均賃金が5,000円だったとします。この場合、最低でもこの6割相当の3,000円をその日の賃金として支払う必要があるということです。
よって、時給1,000円で5時間働く予定だったアルバイトさんを2時間だけ働かせて帰した場合に2,000円しか支払わないことは上記3,000円に達していませんので違法と考えられます。
反面、時給1,000円で5時間働く予定だったアルバイトさんを3時間だけ働かせて帰した場合に3,000円を支払うことは上記3,000円に届いていますので適法と考えられます。この場合、働かせなかった2時間に関しての補償はありません。
(3)給与以外の影響
とはいうものの、雇用契約書や労働契約書に1日の労働時間が明記されている場合は、労基法ではなく、民法上の問題となるだけでなく、不満からモチベーション低下につながる可能性もあります。店舗で働くスタッフが公的機関へ相談に行く場合もあり、経営者・店長としては、その場合の対応に負荷がかかります。
トラブルの芽は予め摘んでおくべきですから、最低限の法律知識は持っておき、事前にアルバイトさんに説明をしておくだけでなく、暇な時こそやれる仕事を実施して、早帰りから来るモチベーションの低下を防ぎたいところです。
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