社会的地位を気にする店長や店員に経営者はどう接するべきか

経営の姿勢

ガソリンスタンドの社会的地位

 あるガソリンスタンドの店長は、顧客から「おい、油屋!」と呼ばれたことがあるそうです。また、給油中に「車内のゴミありますか」とサービスで声を掛けたら、大量のゴミを出されたり、アルバイトさんが簡単に辞めたりするので、自身の社会的地位が低いと悩んでいました。

 士農工商という言葉があります。江戸時代の身分制度を表しており、武士の身分が一番高く、商人の身分が一番低いというものです。また、商人は自分の感情や理屈を曲げ、相手に合わせることが重要という意味の「商人と屏風は直ぐには立たぬ」ということわざもあり、これを曲解して、相手に迎合するのが商人であると捉える人もいるようです。

中小企業診断士の社会的地位

 だいぶ前になりますが、私が中小企業診断士の資格を取得して、しばらく経過した後に、中小企業診断士の方向けに、ガソリンスタンドのコンサルティングをする際の留意点といったテーマでセミナーを開催したことがあります。
 そのセミナーで、受講中の20名ほどの診断士に対して「中小企業診断士の社会的地位が気になる人は手を挙げてください」と質問したところ、実に多くの方が挙手しました。
 独占業務がない、知名度が低い、といった理由が診断士の社内的地位が低いと考える方が多いようです。職種はどうであれ、多くの方が社会的地位を気にしているのだな、と気付かされた瞬間でした。

惨めだと思った瞬間に惨めになる

 私は、どんな他人でも、自分を汚すことはできないと思っています。自分が汚れたと思った瞬間に、自分は汚れます。
 同様に、他人に何を言われようと、社会がどうなっていようと、自分が惨めになる必要はありません。人は、自分が惨めだと思った瞬間に、惨めになります。

 汚れたかどうか、惨めかどうかは自分が決めることです。「油屋」と呼ばれ、大量のゴミを手渡され、アルバイトさんにすぐに辞められて、惨めだと思う人とそう思っていない人がいるということです。
 独占業務がなく、知名度が低い中小企業診断士という資格を持っている方でも、社会的地位が低いと思っている人とそうでない人がいるということです。

 惨めだと思っていない方々、つまり社会的地位を気にしていない方々に共通しているのは、自由にのびのびと仕事をしている、ということです。自由にのびのびと仕事をしているので、その仕事ぶりは楽しそうですし、成果も上がりやすいのです。

 よって、経営者としては、部下である店長や店員に、自分の仕事の社会的地位を問いかけ、他人の評価に振り回されず、自分らしく生きなさいとエールを送り続けることが業績向上の方策になり得ます。
 ちなみに、社内の評価である人事考課は、その店長や店員を育成するためのツールであり、それによって店長や店員を振り回すものではないことを付け加えておきます。

 【参考記事】
 「ムカつく客」への対応は器を大きくするチャンス

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