年中行事商戦におけるアルバイトさんの確保
昨日、食品を扱うある小売店でおせち料理の予約を開始したという告知を見かけました。また、今月末のハロウィーンが終わると、クリスマス商戦のためにクリスマスツリーやイルミネーションが街を彩ります。このように、クリスマスやお正月といった年中行事に絡めた商戦は、早め早めに消費者に訴求し、需要を喚起していく必要があります。
その反面、このような年中行事に働くアルバイトさんが集まらず、シフトが組めないという小売業、サービス業の店舗もあります。特にクリスマスイブの夜や年末年始に休みをとりたがるアルバイトさんは多いはずです。
クリスマスイブは恋人と過ごしたい、年末年始は実家で過ごしたい、という気持ちはわかりますが、そのような書き入れ時こそ、小売業、サービス業では人員を確保したいわけです。
そのような忙しい時に休みを欲しがるのになぜ小売業、サービス業の店舗にアルバイトの応募をするのか、と店長クラスの方々は疑問を持つのですが、それは店長クラスの方々の常識であって、アルバイトさんは別の価値観を持っていることを理解しておく必要があります。
時が変われば気持ちも変わる
あるガソリンスタンドでは、そのような年中行事に出社してもらえるアルバイトさんを確保するべく、採用面接時に、クリスマスイブの夜と年末年始は出社できるかどうか、ということを確認し、そのような時に出社できるアルバイトさんを優先的に採用していました。
ところが、クリスマスイブや年末年始まで勤務が続いたアルバイトさんは多くなく、この取り組みは、功を奏したとは言い難いものでした。
アルバイトに応募する方々は、当然、採用して欲しいと思っていますから、採用面接時に都合の良いことを話しがちです。ですが、入社して仕事をしてみるとどうも満足できない、ということであれば、モチベーションが下がり、辞めてしまいます。
ですから、採用面接時に何を言ったか、という点よりも、採用後のアルバイトさんのモチベーションに着目する必要があります。
仕事の社会的意義
こちらのコラムでご紹介した、アメリカの臨床心理学者であるハーズバーグは、実証研究により、動機付け要因が充足されたときに、モチベーションが高まることを明らかにしました。これを動機付け=衛生理論と呼び、モチベーションが何によって引き出されるのかを説明する理論として発表しました。
この動機付け要因の1つに「仕事そのもの」があります。あるガソリンスタンドの店長は、ガソリンスタンドがなかったら、クリスマスイブのドライブデート、年末の買い出し、年始の初詣で車を使う人が困ってしまう、だから、そういう時こそ我々の存在意義がより重要になる、ということをアルバイトスタッフに繰り返し伝え、モチベーションを高めました。
そのため、クリスマスイブや年末年始に出社するスタッフはそれなりの人数となり、非常に繁盛したと言います。もっとも、そのような存在意義がより重要になる時期に時給を上げることも忘れませんでした。
そして、そのような取組みをする店舗で働く学生アルバイトさんの一定割合は、就職先として同社を選ぶようになっています。
仕事の意義やその重要性を説くことにより、アルバイトさんのプロ意識を醸成し、モチベーションを上げることを意識して、あと数か月後に始まるクリスマス商戦、年末商戦の準備をしていただけたらと思います。
【参考記事】
モチベーションアップの方法
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