4回も持続化補助金に採択された絵画教室の経営計画とは?

小規模事業者持続化補助金

1. 4回も持続化補助金に採択された絵画教室の経営計画とは?

 家カフェスキル青山・八潮は、絵画教室を主たる事業としていますが、今回、持続化補助金に採択され、これで当補助金の採択回数は通算4回目となりました。2,3回の採択は耳にすることが多いのですが、4回以上となるとレアケースと言えます。

 当記事では、この絵画教室の計画書を参考に、どのように計画書を記載すれば、4回目の採択を得ることが出来るのか、計画書の記載ポイントについて解説します。

■持続化補助金とは

 販路開拓などに要する費用を補助する小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)の通常枠は、補助対象費用の3分の2、上限50万円を補助します。それ以外に4つの特別枠が設けられており、そのひとつに賃金引上げ枠があります。これは、賃金を引上げると上限は200万円に、赤字事業者の場合は、補助率が4分の3に引き上がるというものです。

 当記事で取り上げる絵画教室は、この枠で申請し、採択されましたが、当補助金を申請するには、以下のサイトから申請書類をダウンロードし、書面審査を通過する必要があります。特に経営計画と補助事業計画の完成度が、審査結果に大きく影響を与えます。

【商工会議所の管轄エリアで事業を展開する方】
https://s23.jizokukahojokin.info/

【商工会の管轄エリアで事業を展開する方】
https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/shinsei.html#yosiki

 当記事では、上述の絵画教室が、経営計画「4.経営方針・目標と今後のプラン」をどのように記載したのか、そのポイントを見ていきます。

■事例企業の概要

 家カフェスキル青山・八潮は、全国25ヶ所以上のカルチャーセンターで実施する対面教室や、オンライン教室を用いて絵画のスキルを提供しています。

 代表の齋藤洋子氏は、もともと絵画を専門的に学んだことはありませんでしたが、自身の子どもに絵を教えてみたところ、コンクールで最優秀賞を受賞したことがきっかけで、絵画教室を開くことにしました。

 今回の補助金の使い道は、チラシ・パンフレットの作成、自社ホームページの改修、絵画教室で使用するテキストの改訂とコンサルティングの謝金です。

 では、当事業所が経営計画「4.経営方針・目標と今後のプラン」をどのように記載し、採択に至ったのか、そのポイントを見ていきます。

■「経営方針・目標と今後のプラン」の記載ポイント①見出しを設ける

 当事業所は、当欄に(1)経営方針、(2)目標、(3)今後のプラン、と3つの見出しを設け、記載する内容を切り分けました。これにより、内容がグルーピングされ、読みやすくなることから、伝えたいことが伝わりやすくなったと考えられます。

 伝えたいことが伝われば必ず採択されるわけではありません。ですが、伝わらないことには、採択はあり得ないことに留意し、読みやすくする工夫が必要と言えるでしょう。

■「経営方針・目標と今後のプラン」の記載ポイント②各年の目標を示す

 当事業所は「目標」として、計画1年目、2年目、3年目の目標売上高と目標営業利益を示しました。このように数値で表すことのできる目標を示すとともに、3年目の目標だけでなく、そこに至る1年目、2年目の目標を示したことは、目標達成の可能性を引き上げることが期待でき、採択を引き寄せたポイントと言えるでしょう。

■「経営方針・目標と今後のプラン」の記載ポイント③「今後のプラン」を表で示す

 当事業所は「今後のプラン」を表で示しました(下図参照)。

 この表のポイントは以下の4点です。

  1. 「経営資源の充実」をテーマに縦軸に実施事項を置く:経営資源の構成要素として人、物、金、情報が挙げられます。当事業所は、各経営資源を充実させるために何をするべきかという観点から、3年間の実施事項を洗い出しました。
  2. 補助事業計画での実施事項を分かるようにする:3年間の実施事項には、当然、補助事業も含まれますが、当事業所は、補助事業の実施事項を赤文字にしていることを但し書きで説明しました。よって、このプランは補助事業も含めた大局的なものであり、高い有効性のあるプランであることを訴求することに繋がりました。
  3. 目標設定期間とリンクした時間軸を横軸に置く:3年間の目標を設定したわけですから「今後のプラン」は3年間の時間軸をとることで、目標達成の可能性は高まるでしょう。つまり、これが1年間だけの時間軸だとしたら、2,3年後の実施事項は考えておらず、その期間の目標達成は厳しいと捉えられるリスクが高まるということになります。
  4. 各年を3か月ごとの4半期に区切る:これにより、実施事項をいつ行うのかという実施時期の具体性がより高まると言えます。スペースが許せば1年を12か月に区切るのもありですが、一般的な計画は4半期に区切るケースが多い印象があります。

■まとめ

 家カフェスキル青山・八潮は、持続化補助金の賃金引上げ枠で4回目の採択を得た絵画教室です。その計画書の記載ポイントは、以下のとおりです。

  • 見出しを設けて、内容を切り分け、読みやすくする
  • 各年の目標を示す
  • 「今後のプラン」を表で示す

 さらに「今後のプラン」のポイントは、以下の通りです。

  • 経営資源の充実をテーマに実施事項を置く
  • 補助事業計画での実施事項を分かるようにする
  • 目標設定期間とリンクした時間軸を置く
  • 各年を3か月ごとの4半期に区切る

 このポイントを参考に、自社の経営計画を作成してみてはいかがでしょうか。

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