小規模事業者持続化補助金<通常枠>は、販路開拓などに要する費用の3分の2、上限50万円を補助する制度ですが、これとは別に4つの特別枠が設けられています。
そのひとつである「賃金引上げ枠」は、文字通り賃金を引上げることによって、補助上限額が200万円まで引き上げられることになっています。
よって、現時点で従業員を雇用していたり、今後雇用を予定していたりする小規模事業者が、相応の費用を使って販路開拓などをしたい場合は、活用の余地があります。
今回の記事では2023年9月12日に下記サイトで公開された、小規模事業者持続化補助金(持続化補助金)第14回の公募要領に基づき「賃金引上げ枠」のポイントについて解説をしていきます。なお、詳細は当公募要領や参考資料をご確認ください。
【商工会議所管轄地域で事業を営んでいる方向け】
https://s23.jizokukahojokin.info/
【商工会管轄地域で事業を営んでいる方向け】
https://www.shokokai.or.jp/jizokuka_r1h/
1.【2023年12月12日締切】持続化補助金<第14回>賃金引上げ枠をわかりやすく解説!
■赤字事業者の補助率
持続化補助金の補助率は原則として3分の2ですので、補助上限額が50万円の<通常枠>であれば、75万円以上の補助対象経費を使用することが、補助上限額が交付される条件として挙げられます。
これに対して<賃金引上げ枠>の補助上限額は200万円ですから、補助率3分の2であれば、300万円以上の補助対象経費を使用することが、補助上限額が交付される条件として挙げられます。
ただし赤字事業者が<賃金引上げ枠>を活用する場合、補助上限額はそのままで、補助率が3分の2から4分の3に引き上がります。よって、300万円以上ではなく約267万円以上の補助対象経費を使用することが、補助上限額が交付される条件として挙げられます。
■賃金の引上げ幅
「賃金引上げ枠」を活用する場合は「申請時点における直近1か月」の地域別最低賃金と「実績報告書提出時点における直近1か月」の事業所内最低賃金を比較して、30円以上増加している必要があります。
例えば、2023年12月12日に当補助金を申請し、この日における直近1か月の地域別最低賃金が900円だったとします。
補助事業を2024年8月31日に終え、同年9月10日に実績報告書を提出したとしたら、この日における直近1か月の事業所内最低賃金が930円以上になっていなければならないということです。補助事業終了時点での最低賃金との比較ではない点に留意が必要です(下図参照)。
■既に最低賃金を超えている場合
申請時点の事業所内最低賃金が、地域別最低賃金を超えていたとしたら、そこから30円以上増加させる必要があります。
例えば、2023年12月12日に当補助金を申請し、この日における直近1か月の地域別最低賃金が1,000円、事業所内最低賃金が1,030円だったとします。
補助事業を2024年8月31日に終え、同年9月10日に実績報告書を提出したとしたら、この日における直近1か月の事業所内最低賃金は1,060円以上になっていなければならないということです。こちらも補助事業終了時点での最低賃金との比較ではない点に留意が必要です(下図参照)。
このように賃金は時給で見ますので、月給で支払っている場合は、月給を月間労働時間で割って、時給換算する必要があります。
今回の記事では、持続化補助金第14回の公募要領に基づき、賃金引上げ枠のポイントとして、①赤字事業者の補助率、②賃金の引き上げ幅、③既に最低賃金を超えている場合、について解説しました。次回は当補助金の創業枠について見ていきます。
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