１． 戦略と戦術の違いをわかりやすく解説！【ガソリンスタンドの事例で理解する】
■戦略と戦術の違いとは？
戦略と戦術という言葉は、ビジネスやスポーツなどの分野でよく使われます。しかし、その違いを明確に理解している人は意外と少ないのではないでしょうか。そこで、当記事では、戦略と戦術の違いをわかりやすく解説します。また、ガソリンスタンドの事例を挙げて、その違いを具体的に理解できるようにします。
ではまず、戦術に着目して「術」の付く言葉を考えてみてください。果たして何個出てくるでしょうか？
技術、芸術、美術、医術、手術、忍術、柔術、詐術、話術、奇術、魔術、武術、術中、術後、読心術、折衝術、投球術、錬金術、催眠術、護身術、技術士、芸術家・・・
これら「術」のつく多くの言葉が「個人のスキル」に依存している印象がないでしょうか。その人が持っている「術」がなければ、それを実施することができない、といった印象です。これに対して戦略は「組織的に対応する」ことを意味します。これらの違いをガソリンスタンドの事例で見ていきます。
■戦術志向の店長の失敗
私はガソリンスタンドの運営会社に21年間勤務し、現場に身を置いていました。よって、様々なアルバイトスタッフと接してきましたが、高い販売技術を持ったアルバイトスタッフと出会うことが幾度かありました。そのようなスタッフが接客すると、なぜかタイヤでもエンジンオイルでも洗車でも、販売できてしまいます。
このようなスタッフを部下に持った場合、戦術志向の店長と、戦略志向の店長では、対応が違います。
戦術志向の店長は、高い販売技術を持ったスタッフの時給を大幅に上げるとともに、長時間の勤務をお願いします。可能であれば休日出勤も依頼します。シフトに入ってくれればくれるほど売れるからです。
そして多くのパターンとして、そのスタッフは、長時間労働に疲れ果て、辞めてしまい、店舗の実績は以前のものに戻ってしまいます。
■戦略志向の店長の成功
これに対して戦略志向の店長は、高い販売技術を持ったスタッフの行動を観察・分析します。例えば、フルサービスのガソリンスタンドにおける接客の流れは以下となります。
顧客の入店→挨拶→誘導→受注→給油開始→窓ふきなどのサービス→商品販売の声掛け→給油完了→会計→送り出し
戦略志向の店長は、高い販売技術を持ったスタッフの、この一連の流れに則った言動が、他のスタッフとどのように異なるのかを観察・分析します。
そして、これによって見出した「違い」の中で、他のスタッフが真似できる部分を探します。例えば、顧客と会話をする際の立ち位置、目線の高さ、身振り手振り、クロージングのタイミングが違っていたとして、やはりそのスタッフでなければできないことは、当然たくさんあるのですが、立ち位置や目線の高さなどは、高い販売技術を持っていなくても真似はできるわけです。
このような真似できる部分を全員で真似するように他のスタッフに伝達し、店舗全体の販売力を底上げしていくのが戦略志向と言えます。
■戦略と戦術の違いを理解する重要性
戦略と戦術の違いをまとめると下図になります。
戦略と戦術は、どちらも目標を達成するために必要なものです。しかし、その違いを明確に理解していないと、効果的な戦略を立てることはできません。
ガソリンスタンドの例で言えば、戦術志向の店長は、高い販売技術を持ったスタッフを長時間労働させることで、短期的な販売実績を上げようとします。しかし、そのスタッフが長時間労働に耐えられず辞めてしまった場合、店舗全体の販売実績は再び下がってしまいます。
一方、戦略志向の店長は、高い販売技術を持ったスタッフの行動を観察・分析し、他のスタッフが真似できる部分を探します。そして、その部分を全員で実践することで、店舗全体の販売力を底上げします。
このように、戦略と戦術の違いを理解することで、より効果的な戦略を立てることができるようになります。
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