コンビニ大手の新たな人材確保策
昨日2018年10月11日の日本経済新聞に「バイト確保へ『報い方改革』」といった見出しで以下の内容の記事が掲載されました。
コンビニエンスストアが新規出店を続けるには、新規店舗を出店しても既存店舗が成長し続けなければ意味がありません。しかし、既存店舗ではアルバイトさんを確保できないケースが増加し、その前提が崩れつつあります。
そのような背景の中で、コンビニ大手各社はアルバイトさん確保のために以下のような福利厚生を行っています。
【ファミリーマート】
従業員は、アイリスオーヤマの家電製品を最大6割引以上で購入が可能。ネット通販や家電量販店の販売価格より安い水準になるという。
【セブンイレブン】
従業員は、福利厚生代行のリログループが提供するホテルや旅行などを割引価格で利用できる。
【ローソン】
従業員は、グループ会社が扱うCDやDVD、書籍を割引価格で購入することが可能。
記事では、人件費を上げて募集をすると、既存従業員の人件費も上げなければならず、また、数十円の時給の差だけでは、人材確保は困難になっていることから、大手コンビニ各社は、このような福利厚生の充実を図っている、という内容でした。
中小企業の福利厚生
大手企業が上記のような福利厚生を充実させる中、人材確保に喘ぎ、大手と比較して資金も潤沢ではない中小企業は、どのようにして福利厚生を充実させれば良いのでしょうか。
報酬には形のある報酬とそれがない報酬があります。商品・サービスの割引という上記の福利厚生は、形のある報酬と言えるでしょう。これに対して、形のない報酬とは、感謝の気持ちや言葉、やりがい、健康などが挙げられます。
中小企業は、大手と比較して資金面に制約がありますから、形の無い報酬を充実させざるを得ませんが、その中で私がお勧めするのは、「承認」という報酬です。
ここで「承認」は事実を述べることであり、「賞賛」は解釈を述べることである、と明確に区別しておく必要があります。
同志社大学政策学部教授で経営学者でもある太田肇氏は、著書「承認とモチベーション」で、人は相手から与えられた言葉によって自信を得たり、その言葉が自分の能力向上の証拠となったりするとモチベーションが向上しますが、その言葉で自分をコントロールしようとしていると解釈した場合はモチベーションが低下すると述べています。
経営者がアルバイトさんに「よく頑張っているね」と声を掛けたとします。この言葉を「そのように褒めることで自分を都合のいいように使おうとしている」と解釈されるとモチベーションは下がります。
これに対して「さっき、お客さんにありがとうって言われていたね」という言葉は、それが事実であれば、解釈の余地がありません。これが承認です。
金銭面での「形」という福利厚生を提供することが困難であれば、承認という形のない福利厚生を今まで以上に提供することは、大手と比較して資金面の制約が厳しい中小企業であっても充実した福利厚生になると考えますが、いかがでしょうか。
承認に関する参考コラム
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