イグノーベル賞が証明!成功には才能より運が重要

コラム

1.イグノーベル賞受賞研究が示す、才能と運の関係

 この記事では、ビジネスの成功に大きな影響を及ぼす「運」の重要性を、調査結果と松下幸之助氏のエピソードから検討していきます。さらに「運」を手に入れるための方策もご紹介していきます。

 イグノーベル賞は、毎年アメリカのハーバード大学によって授与される、風変わりでユーモラスな科学賞です。この賞は、本来真面目な研究でも、奇妙で滑稽な結果を繰り返したり、人々を笑わせたりする研究に授与されます。その名前「イグノーベル」は、「ignoble(不名誉な)」と「Nobel」(ノーベル賞)を組み合わせたものです。

 2022年にイグノーベル賞経済学賞を受賞した研究は、「成功と運と才能の因果関係について」という論文です。この論文では、コンピュータを使ったシミュレーションを通じて、成功と運と才能の関係を解析しました。

 具体的には、1,000人の被験者に対して才能をランダムに割り当て、その後毎年、彼らが幸運な出来事に遭遇するかどうかを測定しました。

 その結果、最も成功した被験者の才能は、平均よりわずかに優れている程度(偏差値55〜60)であることが判明しました。また、才能が平均よりも優れている被験者でも、運が悪ければ成功することは難しく、逆に、才能が平均よりも劣っている被験者でも、運が良ければ成功する可能性があることが示されました。

 この研究は、成功の要因として、運の重要性を明確にしたものです。成功を収めるためには、もちろん才能が必要ですが、運もまた、重要な役割を果たすことが示唆されました。

 そして、以下のエピソードも、成功には運が重要であることを示唆しています。

2.松下幸之助氏の運を引き寄せる考え方

 パナソニック(株)の創業者で「経営の神様」と呼ばれた松下幸之助氏は、新入社員の採用面接で、必ず以下の質問を投げかけていました。

 「あなたは、自分が運のよい人だと思いますか」

 この質問に対して、運が悪いという内容を答えた応募者は、どれだけ学歴や成績が良くても採用しなかったと言われています。

 松下氏は実家が貧しく、学校は小学校4年生で中退し、身体も病弱でした。これを踏まえ、家が貧しかったから無理な経営をしなかったこと、学歴がなく身体が弱かったから、他人にお願いして多くの人の力を借りることができたことを述べ、自分は運がよかったと語っていました。

 松下氏は、このように自分は運がいいと自認している人は、自分ではコントロールできないことを受け入れ、コントロールが可能なものに目を向けて、前向きに捉え直すことができる人だと認識していたようです。

 例えば、新型コロナウイルス感染症の拡大という事実に対して、「客数が減った」「集客がしにくくなった」と捉える人と、「オンラインでの販売にシフトする良い機会が来た」と捉える人では、その後の業績は異なるはずです。

 このように、同じ事象でも捉え方が前向きな方は、ビジネスチャンスを掴みやすく、そのような方を松下氏は望んでいたということです。反面、ネガティブ思考の方には以下の傾向があることが分かっています。

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