返報性の原理を活用したガソリンスタンドのタイヤ販売戦略

コラム

1.はじめに

 この記事では、返報性の原理を用いた心理学の実験から得られた知見をもとに、ガソリンスタンドのタイヤ販売における効果的なアプローチについて探ります。

 この記事は、ガソリンスタンドの経営者やリーダー、スタッフだけでなく、営業やサービス業に従事する方、顧客との関係を強化したい方など、顧客との関係性を重視するすべてのビジネス関係者に価値ある情報です。

 この記事を最後まで読むメリットは以下の通りです。

  • 返報性の原理を理解し、顧客との信頼関係を築くための具体的な戦略を学ぶことができます。
  • 有効なビジネスアプローチを身につけることで、売上向上や顧客ロイヤルティの向上に繋げることができます。
  • 実際の事例や具体的な施策を通じて、理論を実践に結びつける方法を知ることができます。

 では、本題に入って行きましょう。

2.心理学の実験から学ぶ返報性の原理

(1)大学生を対象とした募金依頼の実験

 返報性の原理に関する実験として、アメリカの心理学者デニス・リーガンが1971年に実施した、大学生対象の以下の実験があります。

  1. 大学生をランダムにグループA、グループBと2つに分けます。
  2. グループAには、実験者が被験者に「一緒にジュースを飲みませんか?」と声を掛けます。被験者が同意すると、実験者は自分と被験者のジュースを購入します。
  3. グループBには、実験者が被験者に「ちょっとジュースを買ってくるので、待っていてくれませんか?」と声を掛けます。被験者が同意すると、実験者は自分のジュースだけを購入して戻ってきます。
  4. 数分後、実験者は両グループの被験者に対して、「大学の募金活動に協力していただけませんか? 任意の金額で結構です。」と依頼します。

 実験の結果、グループAの方がグループBよりも募金を協力する割合が高くなりました。具体的には、グループAでは約75%が募金に協力した一方、グループBでは約50%にとどまりました。

 この結果から、被験者は実験者から飲み物をおごってもらったことへのお礼として、募金に協力したと考えられます。つまり、人は何か施されたら、それに報いるように行動しようとするという返報性の原理が働いたと解釈できます。

(2)医師を対象としたアンケート回答依頼の実験

 アメリカの社会心理学者ベリーとカノウズは、1980年に医師を対象とした以下の実験を行いました。

  1. 医師をランダムにグループA、グループBと2つに分けます。
  2. グループAには、アンケート用紙、依頼文書に20ドルの小切手を同封して郵送します。
  3. グループBには、アンケート用紙と、それを返送してもらえれば20ドルの小切手を送付する旨を記載した依頼文書を郵送します。

 実験の結果、グループAの方がグループBよりも回答する割合が高くなりました。具体的には、グループAでは約78%が回答を返送した一方、グループBでは約66%にとどまりました。

 この結果から、被験者は実験者から小切手をもらったことへのお礼として、アンケートを回答したと考えられます。こちらも、人は何か施されたら、それに報いるように行動しようとするという返報性の原理が働いたと解釈できます。

 では、この返報性の原理をガソリンスタンドのタイヤ販売で活用する方策を以下で述べていきます。

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