評価が高い紳士服店の販売員が実施している上手い接客応対のコツ

　弊社の最寄駅そばに立地する紳士服店にコートを買いに行きました。色々迷いながら品定めをしていましたが、販売員の方はつかず離れずといった距離感で「よろしければ試着してみて下さい」と声をかけては遠ざかる、といった感じでした。

　そのような中、どうにか2つのコートに絞り込むことができました。1着目は、わりとシンプルめなコート、2着目は、トレンチコートです。そこで販売員の方に試着をしたい旨、声を掛けました。今回のコラムでは、この時に販売員の方がとった対応を事例としてご紹介します。

1．評価が高い紳士服店の販売員が実施している上手い接客応対のコツ

　1着目のシンプルめなコートを試着したところ、販売員の方は「このコートは肩が伸び縮みする作りになっているんですよ」と該当部分を見せながら言いました。確かに、肩の部分にプリーツが入っています。

　次に、2着目のトレンチコートを試着したところ、販売員の方は「このコートは生地が素敵ですよね」と言いました。確かに、シワになってもそれを楽しめる風合いになっています。

　販売員は熱心になればなるほど、多くの言葉を費やし、購買していただく方向へ持って行こうとします。ですが、今回のように各商品の特長を端的に述べることで、顧客の主体性に基づく買物を提供しようという意図を感じました。

　販売員の方からのアドバイスを頂戴し、トレンチコートへ心が動いた私ですが、1つ懸念事項がありました。私は普段リュックで移動するのですが、トレンチコートのベルトと背中のリュックが干渉し合い、邪魔になるのではないか、というものです。

　それをお伝えしたところ、その販売員の方は下の写真のようにベルトを結んでくれました。真ん中でベルトを結ぶと、リュックを背負っているときに背中とリュックに結び目が挟まって邪魔になりますが、あえて端で結ぶことでそれを防止でき、また、それなりに洒落た感じも出ているように思いました。

　私は、販売員の方が発した「このコートは生地が素敵ですよね」という言葉とベルトの上手い結び方で、このコートの購買を決めました。

　この販売員の方は、自身の知識を活用してトレンチコートのベルトを結び、付加価値を高め、販売に成功しています。販売員は自店の扱う商品について、顧客よりも知識を持っている場合が一般的です。その知識を顧客の抱える課題を解決するために活用することで、その商品の付加価値を高め、それが販売に繋がっていきます。

　評価が高い紳士服店の販売員が実施している上手い接客応対のコツは、商品の特長を一言で述べるとともに、商品の付加価値を高めるべく、自身の知識を活用することだと思いますが、いかがでしょうか。

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