ガソリンスタンドの減少が意味するもの
ガソリンスタンドの減少が止まりません。平成6年度末に全国で60,421カ所あったガソリンスタンドですが、平成28年度末には31,467カ所と約48%、軒数にして28,954カ所が減少しました。
このことは、閉鎖したガソリンスタンドで働いていた人が新たに職を探さなければならないことを意味しています。1カ所に5人のスタッフがいたとして、22年間で約15万人のガソリンスタンド経験者が職を探す事態に陥った、ということです。
その中には、もうガソリンスタンドの仕事はしないと決め、それ以外の仕事を探す方も含まれているはずです。しかし、私が21年間で7つのガソリンスタンド運営会社を渡り歩いたように、辞めざるを得なくても、やはり、これまでの経験を活かして、ガソリンスタンドで働きたい方も相当数存在するはずです。
ちなみに、私の感覚的な話ですが、私が店長時代に採用したアルバイトスタッフのうち3割程度はガソリンスタンドの勤務経験のある方でした。
つまり、ガソリンスタンド数の減少は、ガソリンスタンドで働きたい経験者が世に多数存在している、と言っても良いのではないでしょうか。
外部環境を踏まえた人材募集
このような外部環境を踏まえた場合、募集媒体に「経験者優遇」の一文を入れることは、大きな効果が見込める可能性が高まります。
さらに、以下の5W3Hを明らかにすることも応募者を増加させるポイントと言えるでしょう。
When(何時から何時まで働けるのか)
Where(働く場所はどこか、系列他店での勤務や、配達や車検など店外勤務はあるのか)
Who(スタッフや店長・経営者の写真を用いて誰と働くのか)
Why(なぜ募集しているのか、当店はどのようなビジョンを達成したくて募集しているのか)
What(何の仕事をするのか)
How(どのように教育訓練がなされるのか)
How many(どのくらいの期間、どのくらいの時間で働いて欲しいのか)
How much(いくらの給与なのか)
詳しくは、ガソリンスタンドの人手不足対策はアルバイトさんの正社員化、人材の募集をかけても人が来ないのはなぜかを参考にして下さい。
経験者を採用するメリット・デメリット
人手不足に喘ぐガソリンスタンドでは、教育に費やす時間がなかなか取れませんが、経験者であれば、即戦力となることが期待できます。
また、過去に勤務したガソリンスタンドの販促策などの情報を仕入れることも可能であり、今後の自店がとるべき戦略への参考にもなり得ます。
反面、経験者は自己流で仕事をしがちですし、店舗の思うように動いてくれないことが多いです。そこで、自己流でやってはいけないこと、どのような働きぶりが望ましいと店舗は考えているのか、という点をマニュアルや評価項目として定めておく必要があります。
経験者でも雇ってはいけない人材とは
人手不足で猫の手も借りたい状況の中、即戦力となりうる経験者の応募があった場合、諸手を挙げて採用したくなる気持ちは、痛いほど分かります。ですが、採用するということは、新規雇用者のロッカー、名札、ユニフォームなどを準備し、ある程度の教育もしなければならず、相応の負荷がかかります。
それでも、中長期にわたり勤務してくれればその負荷も報われますが、短期間で退職されてしまった場合、その負荷は一切報われません。
「骨折り損のくたびれ儲け」といいますが、これを避けるためには、即戦力といえども辞めにくい人材を見極める必要があります。辞めにくい人材とは、以下の5つの軸が自店と一致している人材です。
情を重視/理を重視
行動を重視/思考を重視
協調を重視/競争を重視
伝統を重視/革新を重視
スピードを重視/緻密さを重視
自店がどちらを重視する風土なのかを見極めた上で、応募者がどちらを重視しているのかを面接で見極める必要があります。詳しくは、人材を採用するために行う面接で実施するべき質問の具体例、人材不足の中で生き残るガソリンスタンドが雇うべき人材とはを参考にして下さい。
生き残りを賭けたガソリンスタンドの人手不足への対応方法とは、増加するガソリンスタンド経験者が応募したくなる求人広告と、自店に合う人材の見極めと言えるでしょう。
人材不足への対応に関する参考コラム
■人材不足の中で生き残るガソリンスタンドが行うべき定着率の向上策
■アルバイトスタッフの「ばっくれ」や無断欠勤を防止するには
■人材不足の中で生き残るガソリンスタンドが行う人材獲得の方法
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