秋田市での登壇を終えて
秋田県秋田市で1時間半ほどの講演を終えて、当日宿泊するホテルに向かっている途中に少し気になる居酒屋がありました。秋田の郷土料理を取り揃えていることが店頭で告知されており、趣のある店構えでした。
入店してみると早い時間だったせいもあり、私が口開け客でした。店内は思いのほか広く、カウンター、テーブル席併せて、ざっと50名ほどは収容できる広さでした。
1人で入店したのでカウンター席に通され、メニューを眺めます。その時にふと目についたのが“カウンター席だけ「かんどうこ」でうまいお燗酒提案”という告知物でした。
「かんどうこ」とは
「かんどうこ」とは燗銅壺と書き、筐体にお湯を入れ、お酒の入った器を温める道具です。このお店の「かんどうこ」の外観は木製でしたが、電源があり、スイッチを入れると中のお湯が温かくなってきます。この「かんどうこ」にお酒の入った「チロリ」と呼ばれる金属製の器を入れてお酒を温めます。
このお店では、チロリにお酒専用の温度計(酒温計)を入れて、ぬる燗、人肌、熱燗など好みの熱さで飲むことができます。これは面白そうなので、最初のビールを終えた私は、「かんどうこ」とお酒をオーダーしました。
1人客のニーズ
私にかかわらず、1人で入店する顧客は、お酒と料理を楽しみながら時間を持て余すケースが多いはずです。そこで、カウンター内の従業員や隣の1人客と話をするケースもあれば、店内のテレビを観たり、スマホをいじったりします。
一番楽しいのは、従業員や地元のお客さんと話が弾むことなのですが、お店の状況によっては、いつもどういう店でも、そういうことが可能とは限りません。
「かんどうこ」に入ったチロリから覗く温度計を見ながら、そろそろ飲んでみようかな、とお猪口に燗酒を注いで飲むと少しぬるい。では、もう少し温めようか、いっそ熱くしてみようか、など1人でいても全く飽きません。
そして、このサービスはカウンター席限定としているところに、1人客のニーズをしっかり汲み取っていることが感じられ、いたく感心してしまいました。
気が付くと、17:00台という早い時間にもかかわらず、私以外にカウンター席には、1人客が3名もいました。従業員が7名ほど立ち働いていたことから、ピーク時の19:00台には、かなり忙しくなるのでしょう。
秋田のお酒と料理、そして「かんどうこ」を使った時間を楽しんだ私が会計を済ませたところ、渡されたのが割引券です。顧客を手ぶらで帰さず、次回のご来店を促すところもさすがです。
1人客から人気があり儲かる居酒屋のカウンター席から伺えることは、顧客ニーズを捉え、顧客を飽きさせない工夫でした。
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