経営者や店長が深夜勤務や配達を行うコンビニ
24時間営業のコンビニエンスストアで、経営者や店長と思しき方が深夜の時間帯にレジ業務を行っているのを何度か見かけたことがあります。
22:00~5:00までの時間帯は、深夜勤務にあたりますので、この時間帯に従業員を働かせた場合、通常の賃金に25%上乗せした金額を支払わなければならないことが、労働基準法で定められています。
経営者や店長が深夜勤務を行うケースでは、この25%増しの人件費を節約するため、また、深夜勤務の人員が揃わないため(恐らく後者が多いと思いますが)、という理由が挙げられると思います。
また、あるコンビニエンスストアチェーンでは、500円以上お買い上げいただければ、お弁当は1個から配達することとしています。弊社が過去にご支援をしたこのチェーンの加盟店では、500円のお弁当1個お買い上げでの配達は、それに要するアルバイトの人件費を考えると、完全に赤字になってしまいますので、経営者が配達をしていました。
経営者や店長がこのような働き方をする弊害はないのでしょうか。
経営者が持つべき4つの視点
かつて、私個人の指導をお願いしていたビジネスコーチは経営者が持つべき視点として、以下の視点を挙げていました。
1.長期的・将来的視点
2.全体的・マクロ的視点
3.本質的・根本的視点
4.多角的・多面的視点
25%の割増賃金や、配達の人件費を節約するために、経営者がそれを行うということは、その日、その業務だけは黒字になるかもしれません。ですが、長期的な視点からすれば、経営者から戦略を考える時間を奪うという弊害をもたらします。つまり、上記「1.長期的・将来的視点」を欠いています。
5年後、10年後のビジョンを考え、そのために何を行うべきか、店舗をどうするべきか、このようなことを考えることができるのは、経営者や経営に関わる方々であり、そのような方々が深夜勤務やお弁当の配達をしている状況は決して好ましいものとは言えないでしょう。
とは言え、深夜の時間帯にどうしても人材が揃わないから、経営者や店長がシフトに入るということもあるでしょう。この際に、なぜ人材が揃わないのか、という「3.本質的・根本的視点」で検討しなければなりません。
「最近の若い者は休みたがる」「深夜の時間帯に勤務したがる人にろくな奴はいない」などと、ぼやいていても事態は好転しないのです。
例外の原則
組織構造を決定する際に適用される原則はいくつかありますが、その中に「例外の原則」というものがあります。
これは、経営者は、日常の反復的な業務などは部下に任せ、自身でなければできない意思決定を行うことに専念するべきである、というものです。誰にでも出来る仕事をあえて経営者が行う必要はないのです。
24時間営業の店舗における経営者や店長が養うべき4つの視点とは、前述の「1.長期的・将来的視点」「2.全体的・マクロ的視点」「3.本質的・根本的視点」「4.多角的・多面的視点」ですが、特にロードサイド店舗においては、上記の事例から「1.長期的・将来的視点」「3.本質的・根本的視点」が重要であると言えるでしょう。
長期的・将来的視点に関する参考コラム
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