「顧客ニーズ」は具体的に記載すること、「市場動向」は裏付けを盛り込み、戦うべき相手を見誤らないことで、採択の可能性が高まります。
店舗改装を行うこととした化粧品店の経営者が、事前に記載した計画書の内容を採択レベルにブラッシュアップしていくプロセスをご紹介するシリーズ、2回目となる今回は、下図の赤枠部分、様式2-1の<経営計画>「2.顧客ニーズと市場の動向」について見ていきます。
事前に書かれてきた内容を整理する
整理とは不要なものを捨てることです。同店の経営者が「2.顧客ニーズと市場の動向」欄に書かれてきた内容について、重複部分など不要な記述を削ぎ落とすと以下のような内容にまとめることができました。
①「心とお肌」のケアをしたいニーズは、さらに高まることが見込まれる。
②化粧品店に求められることは、明るく清潔で入店がしやすいこと、接客やアドバイスなどのサービスが充実していることである。
③ドラッグストアとして開店した15年前は、競合店も少なかったが、ショッピングセンター、ドラッグストア、コンビニ、ホームセンター等の出店により競争が激しくなった。
④商圏人口の減少と少子高齢化が進んでいる。
⑤お客様がゆっくりとお茶を飲みながらくつろげる店舗運営を心がけている。
削ぎ落としの結果、残ったこれらの内容をしかるべき場所に配置します。
整理した内容を整頓する
整頓は整理の結果、残ったものの置き場所を決めることです。当欄は「顧客ニーズ」と「市場の動向」ですので、「顧客ニーズ」「市場の動向」と見出しを設け、それらに上記①~⑤を当てはめていきます。
「顧客ニーズ」に該当するのは①②、「市場の動向」に該当するのは③④となりますが、⑤はどちらにも当てはまらず、後ほど見ていく「4.経営方針・目標と今後のプラン」の「経営方針」に該当しそうですので、そちらへ移動しました。
次に、「顧客ニーズ」と「市場の動向」をブラッシュアップしていきます。
「顧客ニーズ」の捉え方
顧客ニーズとして書かれていた内容は、前述の通り、以下の2点でした。
①「心とお肌」のケアをしたいニーズは、さらに高まることが見込まれる。
②化粧品店に求められることは、明るく清潔で入店がしやすいこと、接客やアドバイスなどのサービスが充実していることである。
なぜ顧客ニーズを把握する必要があるかというと、それに応えることで顧客の支持を得ることが出来、結果として売上・利益が拡大するからです。よって、当欄に記載するべきことは【自店が応えるべき顧客の課題】と言い換えることができます。
そのように見ていくと①は顧客ニーズとは言えず、②は「明るく清潔で入店がしやすい雰囲気に対するニーズがある」「充実した接客やアドバイスに対するニーズがある」とすることができますが、「充実した接客やアドバイス」をより具体的に書く必要があるでしょう。
「市場の動向」として盛り込むべきこと
市場の動向として書かれていた内容は、前述の通り、以下の2点でした。
③ドラッグストアとして開店した15年前は、競合店も少なかったが、ショッピングセンター、ドラッグストア、コンビニ、ホームセンター等の出店により競争が激しくなった。
④商圏人口の減少と少子高齢化が進んでいる。
③の競合動向に記載されているショッピングセンターやドラッグストアなどは、果たして同店の競合なのでしょうか。ボクシングでライト級の選手は、ライト級の相手と戦います。ヘビー級の選手と戦わないのは、体格で不利であるからです。
同様に小規模事業者の競合は小規模事業者であり、大型店と張り合うことは無理があります。そこで、自店と同じような規模の競合を見出す必要があります。
④の人口動向に関しては、自治体のホームページなどから商圏人口数や商圏居住者の年齢の推移を統計データとして記載することで、裏付けとなり、説得力が向上します。
このようにして、顧客ニーズを具体化し、市場の動向の裏付けを盛り込み、戦うべき相手を見極めることでブラッシュアップをしていきました。次回のコラムでは「3.自社や自社が提供する商品・サービスの強み」を見ていきます。
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