すぐ休む主婦パートを部下に持つ店長がとるべき3つの対応

モチベーション

 小さいお子さんがいて、すぐ休む主婦のパートタイマーを部下に持つ店長は(1)休まれた時の接客を考える、(2)皆勤賞を設定する、(3)お子さん連れの飲み会・食事会を実施する、という対応が最終的に店舗の業績を拡大させるでしょう。

 主婦パートは平日日中の貴重な戦力ですが、小さいお子さんがいて、両親などお子さんの面倒を見てくれる方がいない場合は、お子さんが発病した時に勤務シフトに穴を空けがちです。小さなお子さんは突然かつ頻繁に発病するのが常ですから、母親である主婦パートは突然かつ頻繁にシフトに穴を空けがちです。

 私もガソリンスタンド運営会社に勤務し、店長を務めていた頃、主婦パートによる突然の欠勤で、その日の勤務シフトが崩れてしまったことは、一度や二度ではありませんでした。今回のコラムでは、そのような悩みを抱えた店長がどのように対応するべきかを見ていきます。

1.すぐ休む主婦パートを部下に持つ店長がとるべき対応

すぐ休む主婦パートを部下に持つ店長がとるべき対応(1)休まれた時の接客を考える

 その日、朝早くから働く店長に電話がかかってきます。電話の主は今日の午前中に出勤するはずの主婦パート。「すいません、子供が熱を出してしまって、お休みをいただきたいんですが。」

 またかよ…と思いつつ、事情が事情なだけに出勤を強制するわけにもいかず、忸怩たる思いで仕事をせざるを得ません。そんなことが繰り返されると、その主婦パートを徐々に戦力として見なすことができなくなってきます。

 それは、主婦パート本人も敏感に感じ取り、退職を考えるようになります。結果として退職されてしまうと、人手不足から脱することができなくなってきます。

 勤務シフトを作成するのは、そのシフトに基づいた店舗運営により【顧客満足】を高め、業績を拡大させるためでしょう。よって、休ませないようにするよりも、目的である【顧客満足】に着目し、休まれてもそれが低くならないようにすることが重要です。

 そのためには、接客する人員の量ではなく、接客の質を高めることが重要とも考えられます。例えば主婦パートの欠勤により、いつもより顧客を待たせてしまったとしたら、いつもより笑顔を出して、いつもより感情を込めて接客することです。これを店長だけでなく、他のスタッフも行うことにより、突然の欠勤が接客力を向上させることに繋がります。

 つまり、休まれた時の接客を予め考えておくことが重要だと言えるでしょう。とはいえ、突然の欠勤はないに越したことはありません。そこで、次に示す対応を考えます。

すぐ休む主婦パートを部下に持つ店長がとるべき対応(2)皆勤賞を設定する

 店長は、部下が望ましくない行動をとった場合、その行動を修正しようとします。しかし、お子さんの発病による主婦パートの欠勤は、修正のしようがありません。

 そこで、望ましい行動を強化させることを検討します。具体的には、ひと月単位の皆勤賞を設けることを検討しても良いでしょう。小さなお子さんを持つ主婦パートが皆勤賞をとる、ということは、そのひと月間はお子さんが発病しなかったということであり、母親として喜ばしい話です。

 結果として、シフトに穴を空けることもなかったわけですから、公私にわたり充実していた月と言えるでしょう。皆勤賞の授与は、その達成感を強化することが可能です。

 なお、皆勤賞受賞の報酬は、必ずしも金銭である必要はありません。店長手作りの表彰状でも良いですし、スタッフルームのホワイトボードに皆勤した方への感謝のメッセージを示しても良いでしょう。ポイントは皆勤したことをしっかり承認する、ということです。そして、職場内だけの取組みだけでなく、次に示す職場外の取組みも重要と考えます。

すぐ休む主婦パートを部下に持つ店長がとるべき対応(3)お子さん連れの飲み会を実施する

 かつて、私が社会人向けのマーケティング講座に登壇していた頃、数ヶ月間に及ぶその講座終了後に受講生の方々と飲み会をすることになりました。

 その講座の受講生に小さなお子さんを持つ主婦がおり、飲み会にお子さんを連れてきてもらいました。私の隣に座ったそのお子さんは「お母さんは怒ると怖い」「いつも本を読んでくれる」など母親にまつわる話を披露してくれました。それを聞いた私は、その主婦は家事・子育てなどで忙しい中、数ヶ月にわたる講義に良く来てくれたなぁ、と感慨にふけったことがあります。

 職場の飲み会・食事会で主婦パートにお子さん同伴で来ていただくことは、店長含めスタッフがその主婦パートのお子さんと触れあう機会になります。そして「こんな可愛いお子さんが熱を出したら、仕事をほっぽり出してもそばにいてやりたいよなぁ」と共感することができたら、その飲み会・食事会は成功と言えるでしょう。

 そのお子さんが発病して、母親である主婦パートが欠勤の連絡をしてきた場合に、電話口でそっけなく「欠勤ですね、分かりました」と言うのと「(お子さんの)○○ちゃん、熱出しちゃいましたか。『早く治るといいね』と店長が言っていたと伝えておいてください」と言うのでは、主婦パートの負担感が全く違いますし、結果として定着率の向上にも繋がります。

 後者の発言は、お子さんと触れあっておくとより効果的になります。飲み会・食事会で、そのお子さんと話さなくても、顔を見るだけでも違ってくるはずです。募集広告で年間数万円払うのであれば、その一部をお子さん同伴の飲み会・食事会に回しただけで、人材の定着率が高まるとしたら、十分に有効な費用の使い方となるのではないでしょうか。

 今回のコラムでは、すぐ休む主婦パートを部下に持つ店長がとるべき3つの対応として、(1)休まれた時の接客を考える、(2)皆勤賞を設定する、(3)お子さん連れの飲み会を実施する、を見てきました。労働人口の減少を補い、女性の活躍を推進するためにも、主婦パート活用の巧拙は今後の小売業・サービス業の展開に大きな影響を与えるのではないでしょうか。

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