惚れられてまう!ガソリンスタンドで神対応が出来た3つの理由

接客

 20代と思しき母親が、お昼寝中の赤ちゃんをチャイルドシートに乗せて、あるセルフサービスのガソリンスタンドに来店しました。どうやら給油はせず、セルフサービスのドライブスルー洗車だけを利用しに来たようです。

 ドライブスルー洗車は、顧客が操作盤にお金を入れるなどの操作を行い、洗車機に車を入れ、乗ったまま洗車が終了するのを待ちます。この母親が洗車前、操作盤の操作をしているときに、ガソリンスタンドのスタッフが走ってきて言いました。

 「洗車中、赤ちゃんが起きちゃって、泣いちゃいますよね。私が洗車機にお車を通しておきますから、お客様は赤ちゃんと店内の待合室でお待ち下さい。」

 洗車中の車内における音のうるささを知っているこの母親、目が潤むくらい大感激です。ロードサイド店舗の運営に携わる者としては、このような神対応を「いい話だね」「同じ事があったら当店でもやろうね」で終わらせていてはいけないはずです。

 シチュエーションが変わっても業種が違っても、神対応ができるように、今回のコラムでは、なぜそのスタッフはこの対応が出来たのかを見ていきます。

1.神対応ができた理由

(1)同乗者にも関心を向けたから

 ガソリンスタンドで働くスタッフは、ドライバーに接客をします。エンジンオイルやタイヤ、洗車など油外商品のおすすめなども、ドライバーに対して行います。重要なことは、これにより、ドライバーにしか関心が向かなくなる罠に陥ってはいけない、ということです。

 この罠に気付いている東京ドーム3個ほどの広い視野を持つスタッフは、例えば、油外商品のおすすめを運転席のご主人に行う際に、助手席に座っている奥さんの様子も伺い、購買の決定権が誰にあるのかを伺いながら接客します。仮に、決定権が助手席に座っている奥さんにあったとしたら、例えば以下のように対応します。

 「助手席の奥様、今、私がご主人にお伝えしたように早めにタイヤを交換しないと雨の日のスリップ事故により、要らない支出が増え、家計を圧迫することになりかねません。早めの交換をおすすめします」

 そして、今回のスタッフは赤ちゃんという、ちいちゃな同乗者に目が向いていたため、神対応ができました。

(2)顧客のデメリットを考えたから

 ドライブスルー洗車を利用したことのある方なら分かりますが、洗車中の車内はとてもとてもうるさいです。洗車機の洗車ブラシが当たる「バタバタ」という音、洗い終えた後の水滴を吹き飛ばすエアーの「ゴーッ」という音。人によっては、少し怖いと感じるかもしれません。

 お昼寝中の赤ちゃんであれば、びっくりして目を覚ますことは充分に考えられます。当然、火がついたように泣きますので、母親は忍びない思いをします。重要なことは、このような顧客のデメリットに目が向くかどうかです。当店の利益だけでなく、顧客の困りごとを考え、見出し、解決する姿勢が神対応に繋がるでしょう。

(3)自分に出来ることを考えたから

 今回のスタッフは、洗車機に自分がお客様の車を通すという、自身の行動を提供しました。

 「洗車中の車内はうるさいので赤ちゃんが泣くと思いますよ」
 「赤ちゃんが泣いても洗車はすぐ終わるので安心して洗車して下さい」

 このようなアドバイスをしたところで何の解決にもなりません。このスタッフの対応は、薄っぺらな「紙」対応ではなく、価値ある自身の行動を提供したからこそ「神」対応なわけです。重要なことは、顧客の困りごとを見出し、解決するために、自身が起こすことの出来る行動は何か、という点にフォーカスしていることです。

 今回のコラムでは、ガソリンスタンドで神対応が出来た3つの理由として、(1)同乗者にも関心を向けたから、(2)顧客のデメリットを考えたから、(3)自分に出来ることを考えたから、を挙げました。日々この3点を意識して店舗運営、接客をしていくと、いずれ「惚れられてまう!神対応」に繋がる可能性がもっともっと高まります。

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