エステサロンを経営するA氏は、毎年お盆シーズンになると憂鬱になります。この時期、同店の近くで地域のお祭りが3日間開催されるのですが、このお祭りの見物客がトイレを借りに来るのです。それも1人2人ではありません。
トイレを貸してもその場では収益になりませんので、お断りするとお酒に酔った人に絡まれたり、店先に「ケチな店」と落書きをされたりしたこともあります。近くには公衆トイレがありますが、汚かったり混んでいたりなどの理由で、多くの方が同店のトイレを借りに来ます。
警察に相談に行ったこともありますが、お祭りの警備で手が回らないとのことであり、A氏は対応に苦慮しています。
しかし、A氏はこの状況をチャンスに変えることも可能であることに気付かなければいけません。今回のコラムでは、このような場合にトイレを快く貸すべき3つの理由を見ていきます。
トイレを快く貸すべき理由1:見込み客を取り込むため
A氏の店舗にトイレを借りに来る人々の中には、エステに縁もゆかりも興味もない人や、年に1回しか当地に訪れない人もいるかもしれません。
反面、エステにお金をかけて自分磨きに余念のない人や、商圏内に居住する人、エステサロンを利用しているものの違うサロンを探している人もいるかもしれません。
そのような方々にトイレを貸すということは、大海の魚に向かって網を投げるようなもので、網には今後の利用客がかかってくれるかもしれません。
トイレを貸すということは、見込み客予備軍に当店をアピールする機会となり得ます。トイレを借りに来て、店内の雰囲気も店舗スタッフの対応も良く、トイレもすごくきれいだとしたら、利用客になってくれる可能性が高まるでしょう。
トイレを快く貸すべき理由2:高い満足度を印象づけるため
人間の根本的な欲求として、もよおしてきたらトイレに行きたい、お腹が空いたら食事をしたい、眠くなったら寝たい、といった生理的欲求があります。
そして、この生理的欲求は、根本的な欲求であるため、満たされたときの満足感が高いわけで、その高い満足感を提供してくれた店舗が提供するサービスは満足感が高いだろうという勝手な推測を働かせます。これを「ハロー(後光)効果」といいます。
もっとも、高いハロー効果を得るには、店内の雰囲気も店舗スタッフの対応も良く、トイレもきれいである必要があります。
トイレを快く貸すべき理由3:返報性の原理が働くため
お金を支払わずにトイレを快く借りることができたという事実は、恩を売ったことになります。恩を受けた人は、何らかの形で恩返しをしたいと考える、これを「返報性の原理」と言います。そして、その恩返しは、エステティックサービスを受けに来るという行動に現われる可能性があります。
しかし、トイレを借りた際に無愛想な態度をとられたり、そもそもトイレを貸してくれなかったりした場合は、この返報性の原理が働きにくくなります。よって、お祭りでトイレを借りに来た人々には快くトイレを貸した方が良いということになります。
さらには、需要の掘り起こしのために、初回お試し券をトイレに置いておいたり、男性を対象としたエステコースのご紹介をしたりすることも効果を促進させるでしょう。
ビジネスは玉突きゲームではありませんから、トイレを貸せば必ずエステの利用者が増えるわけではありません。しかし、顧客数が拡大する可能性を高める取組みを行わなければ、顧客の拡大は見込みにくくなります。
今回は、エステサロンが地域のお祭り時にトイレを快く貸すべき3つの理由として、1.見込み客を取り込むため、2.高い満足度を印象づけるため、3.返報性の原理が働くため、を見てきました。
何もせずともトイレを借りに来る方が増えるということであれば、それをいかに活かすかという観点から検討するべきでしょう。
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