70歳までの労働が当たり前になる
社会保障制度とは、国民の生活を支えるセーフティーネットであり、具体的には、社会保険(年金制度、健康保険、介護保険)、社会福祉(障害者や母子家庭への支援)、生活保護制度などが挙げられます。
その社会保障制度は、高齢者に偏っているという指摘があります。そこで全ての世代が安心できる社会保障制度へ改革するために実施された政府主導の会議を「全世代型社会保障検討会議」と呼びます。
この会議の中間報告案に70歳までの就業機会確保が盛り込まれました。現在の法律では、企業は社員が定年を迎えても65歳まで働ける制度を導入しなければなりませんが、これが5歳引き上げられるということです。
ガソリンスタンドにおける高齢者
私がガソリンスタンドの現場で働いていた頃、60歳以上の部下を持ったことは1度や2度ではありませんが、彼らに共通して言えるのは、顧客との関係性を構築することがうまく、結果としてガソリン以外の商品が売れていく、ということです。ガソリンスタンドでの勤務経験があればなおさらです。
ただし、夏は暑く冬は寒いガソリンスタンドの現場で、高齢スタッフを活用することは、本人の体力面で厳しいケースも多いため、パートタイマーとして積極的に活用していくべきと考えます。
とはいうものの、高齢スタッフは使いにくいという店長の呟きが聞こえてきそうです。そこで、今回のコラムでは、ガソリンスタンドが高齢スタッフを活用して、70歳雇用を実現するために経営者が店長に指導していきたいポイントを見ていきます。
ガソリンスタンドが70歳雇用を実現するためのポイント1:リスペクトする
年下の部下に対する年上の上司という構図が一般的だった過去と比べて、現在は年上の部下と年下の上司という構図が珍しくなくなりました。これは、今後も増加していくでしょう。
ですが、部下は上司より劣っていると考える店長がいまだに多い印象があります。仕事上の知識や経験は店長の方が豊富かもしれませんが、人生経験は年上の方に適うはずもありません。上司と部下である前にお互いが人間であることを強く意識できれば、自然と店長は高齢スタッフをリスペクトすることとなります。
何といっても、高齢スタッフは納めてきた税金の額が違います。これはゆるぎない事実であり、リスペクトするべきポイントです。
これをしないで、自身の思うように動いてくれない、実績を出してくれないと嘆くのは筋違いというものですから、経営者としては、店長にその自覚を促す必要があります。
ガソリンスタンドが70歳雇用を実現するためのポイント2:任せる
高齢スタッフは、自分なりのプライドがあります。よって、可能な限り、仕事を任せるという前提で店長は接するべきでしょう。
私がガソリンスタンドの現場で店長を務めていた頃に、深夜勤務を希望する高齢スタッフを雇用したことがありますが、深夜の店舗運営を任せる前提で雇用したのが功を奏し、結果として深夜運営のリーダーとして、信頼のおけるスタッフとなりました。
彼には、たまに日中の人不足を埋めるために、早出もしくは居残り残業をお願いしたこともありますが、やはり店長の管理のもとでは働きにくいことが手に取るように分かりました。その後に接した幾多の高齢スタッフも似たような傾向が伺えましたので、高齢スタッフには可能な限り仕事を任せるようにしましょう。
ガソリンスタンドが70歳雇用を実現するためのポイント3:相談する
店長よりも年配の高齢スタッフは、当然店長よりも人生経験が豊富です。それは本人も自覚していますので、店長が相談してくれると喜びます。店長が意識するべきは、その人生経験を用いて店舗が抱える問題を解決するヒントをいただくというスタンスです。
そして、即座には解決できなくても、相談してくれたという姿勢は、店長のためにひと肌脱ごうという気にさせ、高いモチベーションで働く可能性が高まります。
今回のコラムでは、ガソリンスタンドが70歳雇用を実現するためのポイントとして、1.リスペクトする、2.任せる、3.相談する、を挙げました。外部環境を見た場合に、今後、儲かるガソリンスタンドが満たすべき要件として、高齢スタッフの活用の巧拙が挙げられるかもしれません。
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