「ガソリンスタンドスタッフのモチベーションを上げるには」シリーズの最終回です。前編、中編は以下をご参照ください。
ガソリンスタンドスタッフのモチベーションを上げるには(前編)
ガソリンスタンドスタッフのモチベーションを上げるには(中編)
さて、この前編、中編のおさらいですが、スタッフのモチベーションを低下させてしまう関りであるパフォーマンス・キラーには以下の3つの類型があります。
1.スタッフの行動を認めず、評価を下す
2.スタッフの意見を受け止めず、問題解決に走る
3.スタッフや問題に向き合うことなく、逃避する
「1.スタッフの行動を認めず、評価を下す」には、(1)批評、(2)レッテルを貼る、(3)賞賛、があり「2.スタッフの意見を受け止めず、問題解決に走る」には、(1)相手を無視したアドバイス、(2)押し付け、(3)脅迫、があります。
そして、今回のコラムでは、パフォーマンス・キラー3類型の3つめ「スタッフや問題に向き合うことなく、逃避する」を取り上げます。この類型には(1)転化、(2)理論武装、(3)元気づけ、がありますので、以下で詳しく見ていきます。
スタッフや問題に向き合うことなく、逃避する(1)転化
転化とは、意図するしないに関わらず、問題のポイントをすり替えたり、違う話題を俎上に乗せたりすることです。
あるガソリンスタンド運営会社に勤務し、現場を任されていたA店長がある日、上司に強く叱責されたのですが、その原因は、その上司と別の上司のコミュニケーション不足による誤解だったことが分かりました。
A店長は、上長同士のコミュニケーション不足が改善されないと誤解に基づく叱責が他の店長にも及ぶことを叱責した上司に指摘したところ、その上司は、A店長と彼の部下のコミュニケーションがどうなっているのかと話題をすり替えようとしました。
このように、話のポイントをすり替えることは、これまでの議論の意味がなくなり、A店長のモチベーションは低下することとなってしまいます。
スタッフや問題に向き合うことなく、逃避する(2)理論武装
これは、正論のみを述べて、物事を収束しようとするパターンです。例として、あるガソリンスタンド運営会社の本社と現場の店長のやり取りを見ていきます。
本社「なぜ販売予算が未達で人件費が予算オーバーしたのですか」
店長「ちょっと忙しい日があってアルバイトスタッフを多めにシフトに入れたんです」
本社「予算は予算でしょう。守ってもらわないと困りますよ」
店長「確かにそうなんですが、どうしてもスタッフが多めに必要な日でして…」
本社「じゃあ、何のための予算なんですか。販売予算が未達で人件費予算はオーバーだったら、利益なんか出るはずないでしょう!」
本社の方は、言っていることは正しいのですが、その内容は誰に対してでも言えることであり、目の前にいる店長の個別事情に目が向いていません。これでは店長のモチベーションは低下することは目に見えています。
スタッフや問題に向き合うことなく、逃避する(3)元気づけ
これは、根拠もなく安心させようとする関りです。事例として、新規開店したあるガソリンスタンドを取り上げます。この店舗は思うほど集客がなく、店長は弱り果てていました。
そこに登場した本社の部長は「大丈夫。まだ始まったばかりだから」と言いましたが、全然大丈夫ではない状況を店長は分かっています。そして、部長に相談しても何の解決にもならないことも分かり、モチベーションは低下してしまいました。
今回のコラムでは、パフォーマンス・キラーのうち「スタッフや問題に向き合うことなく、逃避する」を取り上げ、その典型的なパターンとして、(1)転化、(2)理論武装、(3)元気づけ、を取り上げました。
このパフォーマンス・キラーは、いついかなる時でもそのような関わり方が良くないわけではありません。状況によっては、あえてパフォーマンス・キラーを行うことが効果的である点にも留意していただきたいと思います。
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