「店長、正社員になりたいんですけど」
私がガソリンスタンド運営会社に勤務し、現場で店長職を担っていた頃に、ある大学生のアルバイトスタッフが私に言ってきた忘れられない言葉です。彼は高校生の頃から当店のアルバイトスタッフとして勤務しており、キャリアは豊富でした。
この発言を受けて詳しい話を聞くと、色々就活はしたものの、【今のアルバイトが一番楽しい】ので、当店に就職したいとのことでした。当店を運営する、このガソリンスタンド運営会社は、複数のガソリンスタンドを展開しており、転勤もありますが、それも構わないとのことでした。そして、翌年は【別の】大学生アルバイトスタッフが、同じく正社員になりたいと言ってきました。
学校の卒業を控えたアルバイトスタッフが職場を去るシーズンを迎えました。新規スタッフの募集をしなければならないわけですが、上記のように、正社員となって自社に留まるようなアルバイトスタッフを輩出できるようになると、新規のアルバイトスタッフがどんどん応募してくるようになります。なぜなら【職場の魅力が高い】からです。
今回のコラムでは、既存のアルバイトスタッフが正社員になることを希望してくるような自店の魅力の高め方を見ていきます。
アルバイト主力のガソスタが人手不足を解消するための方策1:考えさせる
アルバイトスタッフが入社して最初の頃は、右も左も分からないので、店長の指示に盲目的に従うものです。そして、経験を積んでくると徐々に自分の考えを持つようになり、結果として店長の指示に従わないケースも出てきます。
そんな時を迎えたら、指示よりも【支援】に重心を置きたいものです。支援の際には、アルバイトスタッフ本人に考えさせることが重要ですが、有効な手法として、回答がイエスかノーに限定されない【オープンクエスチョン】の投げかけがあります。
ここでのポイントは、オープンクエスチョンにより、Who(だれが)、When(いつ)、Where(どこで)、What(なにを)、Why(なぜ)、How(どのように)の5W1Hを明確にすることです。
具体的には「タイヤを今以上に売るために、どんな取組みが考えられますか」「オイルの販売による顧客のメリットは何だと思いますか」などが挙げられます。
アルバイト主力のガソスタが人手不足を解消するための方策2:教えさせる
人材の成長には、インプット学習とアウトプット学習が必要です。インプットは上司や先輩から教わること、アウトプットは後輩に教えることですが、ある程度経験を積んだら、【アウトプット】を行ってもらうと能力が高まりやすくなります。
具体的な方策として、新人スタッフが入社してくると、職場内訓練(オンザジョブトレーニング:OJT)が実施されますが、その際の【トレーナー】をアルバイトスタッフに担っていただくことが挙げられます。
アルバイト主力のガソスタが人手不足を解消するための方策3:承認する
スタッフのモチベーションを高めるには、承認を与えることが重要ですが、【承認と賞賛は別】であることを意識しておきたいものです。
例えば、アルバイトスタッフが1日に50台のタイヤ空気圧点検をしたとします。この場合に「50台点検したね」は承認であり、「頑張ったね」は賞賛です。承認は事実を、賞賛は評価を述べます。事実を述べられた場合は解釈の余地がありませんが、評価を述べられた場合は解釈の余地が生まれます。
例えば上司から「頑張ったね」と評価されたアルバイトスタッフが「この上司、僕の機嫌をとろうとしているのかな?」とネガティブに解釈した場合、モチベーションは低下する可能性が高まります。よって、スタッフに関心を持って日々の働きぶりを見ておき、承認をして事実を述べていく必要があります。
今回のコラムでは、アルバイト主力のガソリンスタンドが人手不足を解消するための方策として、1.考えさせる、2.教えさせる、3.承認する、を挙げました。人材を集めるには、【内部体制の充実】が必要です。これにより、来年の今頃は学校を卒業するアルバイトスタッフが、貴社の正社員として活躍するようになることを祈念しています。
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