小規模事業者持続化補助金で出張美容を展開した美容室の事例④

小規模事業者持続化補助金

 見出しを整え、正しい目標を設定し、具体的な行動をプランに盛り込むことにより、小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。

小規模事業者持続化補助金「美容室」採択のポイント

 小規模事業者持続化補助金を活用して、移動式シャンプーユニットの導入、ホームページ・パンフレットの作成費用を調達するために、ある美容室の経営者が予め記載してきた計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。

 今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<経営計画>内の「4.経営方針・目標と今後のプラン」を見ていきます。

見出しを整える

 同店が事前に書かれてきた内容を拝見すると【経営方針】【補助事業終了時の目標】【3年後の目標】【5年後の目標】と見出しがありました。繰り返しになりますが、当欄は「経営方針・目標と今後のプラン」を記入する欄です。

 よって、素直に見出しを付けるなら【経営方針】【目標】【今後のプラン】となります。その上で【目標】の見出しの下、<補助事業終了時の目標><3年後の目標><5年後の目標>と記載すると、散らかった印象のある目標が整理されることになります。

目標は測定可能か、ぼやけていないか、辻褄が合うか

 この【経営方針】【補助事業終了時の目標】【3年後の目標】【5年後の目標】それぞれを拝見すると各項目に以下の内容が含まれていました。

【経営方針】稼働率5%アップ

【補助事業終了時の目標】訪問美容サービス利用者数1~3人(月間平均)

【3年後の目標】訪問美容サービス利用者数5~10人(月間平均)

【5年後の目標】訪問美容サービス売上100,000円(年間)

 まず、【経営方針】として掲げている「稼働率5%アップ」は新たに設定した見出し【目標】の見出しの下に置いていただきました。掲げた目標が達成できたかどうかは、実績を測定出来なければ分からない話です。そこで、何をもって稼働率が向上したと判断するのかをヒアリングしました。

 また、「1~3人」「5~10人」など目標に幅を持たせるのも好ましいものではありません。目標は達成するべき数値・状態です。それに幅があったとしたら、目標がぼやけ、達成が困難になりますので、修正をしていただきました。

 さらに、5年後の目標として出張美容サービスの年間売上高が100,000円とあります。つまり出張美容サービスの月間売上高は約8,333円となります。3年後の目標で目標利用者数が5人~10人とありますので、仮に利用者数が10人だとしたら、客単価は約833円であり、これでご商売が成り立つのかという疑問が湧きます。

 もっとも、5年後は3年後より利用者数は増えていることが想定され、目標とする売上高はもっと大きくなければ辻褄が合わなくなります。これを踏まえて再検討していただきました。

具体的な行動は「プラン」に盛り込む

 さらに【経営方針】【補助事業終了時の目標】【3年後の目標】【5年後の目標】それぞれを拝見していくと各項目に以下の内容が含まれていました。

【経営方針】60歳以上の方を対象とした割引制度を継続。

【補助事業終了時の目標】訪問美容サービスの日を設定。チラシの配布で告知。

【3年後の目標】チラシの配布継続。在宅でも予約できるホームページを作成。

 上記はすべて【今後のプラン】に盛り込んだ方が説得力は高まります。というのも、これらは具体的な行動であるからです。よって、縦軸に行動を、横軸に時間をとった表を作成し、以下のように、いつ、何を行うのかを記載していただきました。

 このようにまとめていくと、さらに実施したいことが出てきましたので、それも追記していただくとともに、4年後~5年後の行動も検討していただきました。ただし、これがうまく見出せない場合は3年計画としても良いでしょう。

 また、今回の補助事業でホームページも作る予定の同店ですが、3年後にこれを実施すると言うことは辻褄が合いませんので、補助事業期間内に実施するようにプランを改めていただきました。

 このようにして「経営方針・目標と今後のプラン」をブラッシュアップしていきました。次回は<補助事業計画>について見ていきます。

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