補助事業の効果として書くべきことを公的な視点から吟味することにより、小規模事業者持続化補助金に採択される可能性が高まります。
1.小規模事業者持続化補助金「整体院」採択のポイント
小規模事業者持続化補助金を活用して、ホームページ・店頭看板の作成費用を調達するために、ある整体院の経営者が作成した計画書を採択レベルにブラッシュアップしていったプロセスをご紹介していきます。
最終回の今回は、下図の赤枠部分、様式2-1<補助事業計画>内の「4.補助事業の効果」を見ていきます。
(1)書かれてきた内容を整理する
事前に書かれてきた内容の中で重複する部分を削除するなど整理をした結果、概ね以下の内容となりました。
①高齢者は、身体能力の低下などにより、ストレスを抱える方が多く、当院の顧客でも自動車運転免許を返納し、一人での遠距離移動が困難な方が増加しつつある。
②近隣の居住者であれば散歩のついでに、近隣以外の居住者であれば当院から出張で施術を受けることが可能であり、これらを定期的かつ継続的に受けることにより、病気を防ぎ、健康促進の効果も期待できる。
③このような当院の理念を広く知っていただくためにも、看板やホームページでの告知を行い、顧客の新規開拓を行いたい。
④補助事業により、来院客及び出張サービス客を各3名ずつ増やすとともに、事業者向けサービスの提供先を現在の2カ所から5カ所へ増加を目指します。
⑤元気な高齢者が増えることで地域経済の活性化に対しても、少なからず貢献できる。
これらの内容を以下のようにしてブラッシュアップしていきます。
(2)「補助事業の効果」として「顧客の現状」を書かない
当欄は「補助事業の効果」を記載する欄ですが、上述の①は「補助事業の効果」ではなく高齢者である顧客の現状を記載しています。
この高齢者層においては、一人で行動できない方が増えているという状況を踏まえて、この層がどのようなニーズを持っているのかを検討することにより<経営計画>内の「2.顧客ニーズと市場の動向」に活用が可能です。
(3)「補助事業の効果」として「一般的な効果」を書かない
②に記載のある、散歩のついでや出張で施術を受けられることや病気の予防、健康の促進は、補助事業を実施したから発生する効果とは言えないはずです。あくまでも今回の補助事業であるホームページや看板を作成することによる効果を記載する必要があります。
このヒントになるのが③に記載のある「このような当院の理念を広く知っていただく」です。散歩のついでや出張で施術を受けられることが当院の理念かどうかはともかくとして、そのような当院の姿勢・メニューを顧客がホームページや看板で知ることができるのは、「補助事業の効果」と言えるでしょう。
(4)測定可能な効果を記載する
④に記載のある、個人や事業者としての顧客が増加することは「補助事業の効果」と言えます。ですが、いつまでに増加することを見込んでいるのかが不明であり、測定が困難な効果と言えるでしょう。
また、事業者向けサービスの顧客は2カ所から5カ所へと増加幅が分かりますが、個人の顧客の増加幅が不明ですので、こちらは現状の数字を記載する必要があります。
(5)3種類の効果を記載する
このようにして「補助事業の効果」を洗い出したら、「自社の効果」「顧客の効果」「地域社会の効果」という形でまとめます。これは近江商人のモットーである「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」という「三方よし」に繋がります。
なお、上述の⑤に記載のある地域経済の活性化は「地域社会の効果」と言えるでしょう。補助金という公的資金を使う立場を狙うのであればこのような公的な視点でも効果を検証することが必要です。
このようにして<補助事業計画>内の「4.補助事業の効果」をブラッシュアップし、採択されました。整体院は、整骨院、接骨院、マッサージ店などとの区分けが分かりにくく、健康保険も使えたり使えなかったりと様々な点で不透明さが残る業界という印象があります。事業の不透明さをクリアにして、利用者の支持を得るために、小規模事業者持続化補助金を活用して広告宣伝力を強化していただきたいと思います。
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